武装集団、イラク北部の都市を相次ぎ制圧 50万人避難

2014.06.12 Thu posted at 10:09 JST

(CNN) イラク第2の都市モスルが10日、武装集団に制圧され、12日には北部のティクリートもほぼ完全に制圧された。ティクリートでは奪還を試みる軍と武装集団の激しい戦闘が起き、モスルからは住民50万人以上が避難している。

近隣地域の警察や目撃者の証言によると、ティクリートは2カ所の警察署で火災が発生し、軍の基地は武装集団に占拠された。攻撃を仕掛けているのは「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)の武装集団とみられる。ティクリートのあるサラハディン州の知事が行方不明になったとの情報もある。

さらに、同国最大の製油施設がある同州バイジの一部も制圧された。当局者によれば、製油施設はまだイラク治安部隊の管理下にあるという。

モスルでは11日に武装集団がトルコ領事館を襲撃し、職員など48人を拉致した。トルコ当局によると、ISISの拠点に連行された48人の中には、職員や特殊部隊員のほか子ども3人が含まれるという。

国際移民支援団体によると、モスルの民間人にも多数の負傷者が出ているが、主な病院は戦闘に巻き込まれて患者の受け入れができなくなり、モスクに臨時の救護施設が置かれている。住民は着の身着のままでクルド地区などに逃れているという。

モスルは160万の人口の大半をイスラム教スンニ派が占める。イラク軍の部隊は襲撃を受けて武器や戦車を残したまま逃走したとされ、武装集団は警察署を襲って刑務所に収容されていた1000人以上を解放し、国際空港も占拠した。

イラクのマリキ首相は、逃亡した軍の司令官は全員を軍事裁判にかけると表明。11日の演説で、モスル襲撃は国の安定を脅かそうとする「陰謀」だと述べ、国民に一丸となって立ち向かうよう求めた。

国防省は、空軍が南部のサマラに通じる幹線道路でISISのメンバーを殺害したと発表。「まだ終わったわけではない。過ちは克服できる」と強調した。

モスル南部のキルクークでは武装集団が一部地域を制圧し、イラク軍が撤退。これを受けてクルド自治区が治安部隊を展開させているという。

一方、首都バクダッドではシーア派住民が多数を占める3地域で爆発が相次ぎ、警察によると25人が死亡、56人が負傷した。

ISISは国際テロ組織アルカイダの一派で、隣国シリアの内戦に乗じて勢力を拡大してきた。イラクでは米軍の応援でISISの掃討作戦が行われていたが、米軍の撤収を受けて勢力を盛り返していた。

武装集団、イラク都市を相次ぎ制圧

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