韓国船沈没、船長が殺人罪否認 初公判

セウォル号沈没事故では多くの学生が犠牲になった=韓国海洋警察提供

2014.06.11 Wed posted at 11:41 JST

韓国・光州(CNN) 韓国の旅客船セウォル号の沈没事故で、イ・ジュンソク船長ら乗組員15人が殺人罪などに問われている裁判の初公判が10日、光州の裁判所で開かれた。犠牲者の遺族は船長らに罵声(ばせい)を浴びせるなどして怒りをぶつけた。

法廷では遺族の代表者が「私たちの時間は止まったまま。制服を着た生徒を見ると、わが子もただいまと言って家に帰って来る気がしてしまう」と訴えた。

船長は殺人罪を否認した。弁護人は「乗客全員が救助される前に船から脱出したことについて、本人はすでに罪悪感を抱いている」と強調。船長はこの船の操縦経験が浅かったことや、救助されたのが乗組員の中では最後だったこと、事故の一因とされる貨物の積載には責任を負っていなかったことを指摘し、上層部からの「責任転嫁」だと主張した。法廷内ではこれに対して反発の声が上がった。

捜査当局によると、セウォル号には積載可能とされる重量の2倍の貨物が積み込まれ、固定も不十分だったことが明らかになっている。

12人の行方が依然不明

検察は、乗組員が助けを求める乗客の声を無視して自分たちの身を守ることを優先したと非難し、船長らの行動は殺人に相当すると主張した。

15人の被告のうち、殺人罪で起訴されたのは船長以下4人。有罪判決を受けた場合は死刑を言い渡される可能性がある。ただし韓国では過去20年近く、死刑が執行されていない。

セウォル号は4月16日に沈没し、これまでに292人の死亡が確認された。12人が依然として行方不明となっている。乗客の多くは修学旅行中の高校生だった。運航会社の利益優先の体質や、政府の対応の不手際も批判の的となっている。

朴槿恵(パククネ)大統領は事故直後、船長らの行動を「殺人に等しい」と非難した。こうした発言が裁判に影響して公正さが損なわれ、乗組員らだけに責任が押し付けられることを懸念する声もある。

韓国船沈没、船長らの初公判

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