鮮度が命、リオの老舗ジューススタンドのこだわり

2014.06.07 Sat posted at 09:00 JST

(CNN) サッカーのワールドカップ(W杯)開幕を目前にしたブラジル第2の都市リオデジャネイロ(以下リオ)。ここのスーコス(ジューススタンド)を初めて訪れた人は、その迫力に圧倒されるだろう。

名前すら聞いたことがない珍しい果物がガラスケースの中にずらりと並ぶ店もあれば、まるで果物をあがめるかのように山積みし、展示している店もある。

「ここを訪れた米国人は、店内に並ぶ果物を見ると皆大はしゃぎする」と語るのは、リオのイパネマなど、数カ所でジューススタンド「ポリス・スーコス」を家族で経営しているロドリゴ・ビジガル・ペイクソトさんだ。ペイクソトさんの父は1958年にリオで最初のジューススタンドを開業したという。

アーティチョークのような形の果物は、フルッタ・ド・コンデ(シュガーアップル)と呼ばれる抗酸化物質を豊富に含んだ西洋ナシのような果物で、この果物のジュースはポリス・スーコスの人気商品の1つだ。

赤くて小さいのはビタミンCを最も多く含む果物の1つであるアセロラ。

またオレンジ色のピーマンのような形で、上に渦巻形の柄が付いた果物は、ブラジル北東部原産のカジュ(カシューアップル)だ。カジュのジュースは舌触りがなめらかで甘い。ちなみに柄の部分はカシューナッツだ。

黄色いマンゴのような形の果物はカジャーで、ビタミンA、B、C、鉄分、カルシウムを含んでいる。

リオの人々にとって毎日フルーツジュースを飲むことは、暑さをしのぎ、天然のスクロース、抗酸化物質、ビタミンを補給するための神聖な儀式だ。

リオのゾナ・スウ(南部)では、ほぼすべての通りにジューススタンドがあり、各店では砂糖入りか砂糖なし、また絞りたてのフレッシュジュースか既製の果肉入りジュースかを選べる。

また多くの店では、オムレツや、肉、豆、ごはんのセット、さらにサルガドスと呼ばれる肉やチーズを混ぜて揚げたブラジル風コロッケなど、安価な食べ物も売っており、安く食事を取るのに最適な場所だ。

フルーツジュースはおいしいだけでなく、さまざまな効用がある。例えばガラナの実やクプアス(アマゾン原産のフルーツで果汁は西洋ナシとバナナを足して2で割ったような味がする)のジュースは天然の栄養ドリンクであり、パッションフルーツのジュースには心を落ち着かせる効果がある。またグラビオーラ(西洋ナシほどの大きさの緑色の果物)のジュースは消化を助けると言われている。

リオでは、どのジューススタンドでも絞りたてのフレッシュジュースが売られている。

「新鮮な果物こそ最高のジュースを作る秘訣(ひけつ)」と語るペイクソトさんは、完熟の果物しか使用しない。ポリス・スーコスのバイヤーであるペイクソトさんは、リオ北部にあるセアザと呼ばれる野菜と果物の卸売市場に行き、ジュースに適した果物だけを選ぶ。

ペイクソトさんはまず、鮮度の良さそうな色つやの良い果物を探し、実際に触って固さを確かめる。すでに食べ頃が過ぎた柔らかい果物は避ける。

「中には劣化した果物を仕入れる店もある。彼らはジュースに砂糖を加えて熟した甘い果物を使用しているように見せかける。しかし、それは本物のジュースではない。私の店のジュースには一切砂糖は加えていない」(ペイクソトさん)

また、もろくて輸送が困難な果物は果肉を使用する。ポリス・スーコスでは、ブラジル北部やアマゾンで取れるグラビオーラ、クプアス、アサイーのみ果肉を使用する。濃い紫色のアサイーのジュースは、どのジューススタンドでも人気商品の1つだ。

リオのジューススタンドの伝統は、ペイクソトさんの父エドゥアルド・フェルナデス・ペイクソトさんがレストラン・バーの支配人として働いていた時に始まった。

エドゥアルドさんは自分の仕事が全く好きではなかったため、ある日、店のオーナーが、エドゥアルドさんを共同経営者にする条件でイパネマに2人でジューススタンドを開きたいと提案した時、エドゥアルドさんはすでにリスクを冒す覚悟ができていた。

結局、エドゥアルドさんがポリス・スーコスの単独経営者となり、その後ロドリゴさんの兄のカルロスさんに店を譲った。現在、ペイクソト家は4軒のジューススタンドを経営している。

ペイクソトさんは「われわれが(ジューススタンドという)コンセプトを開拓し、その後、他の人々が多くのスタンドをオープンした」と述べ、さらに「人々は、より自然で、健康的な生活を望むようになった」と付け加えた。

「またここは大変暑いので、人々は喉の渇きを癒やす健康的な飲み物を求めていた」と語った。

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