(CNN) 第2次世界大戦中に米先住民の言語を使った暗号を開発、米軍の暗号通信に従事した「コードトーカー」だったチェスター・ネズ氏が4日、死去した。93歳だった。
ネズ氏は米海兵隊が1942年に初めて暗号開発を目的に採用した29人のナバホ族の最後の生き残りだった。
暗号用の言語としてナバホ語が選ばれたのは、構文や発音がナバホ族以外の人間にはほぼ習得不可能で、文字がなかったからだ。終戦時にはナバホ族のコードトーカーの数は300人を超えていた。
「暗号を開発する際、われわれは日常的なナバホの言葉を使うように気をつけた。その方が覚えやすいからだ」と、ネズ氏は2011年にCNNに語っている。
ネズ氏は第2次大戦のガダルカナル島やグアム島、ペリリュー島での戦いに派遣され、暗号通信を担当した。
コードトーカーは暗号に関する話を海兵隊の同僚や家族にさえも話すことを禁じられた。機密扱いが解かれたのは1968年。ネズ氏ら29人は2001年になってようやく、当時のブッシュ大統領から表彰された。
コードトーカーの功績が知られるようになると、彼らは本や映画のテーマにも取り上げられるようになった。2002年のニコラス・ケイジ主演『ウィンドトーカーズ』もその一例だ。
「時間はかかったがコードトーカーの功績が認められるようになった。ナバホ族にとってはよかった」とネズ氏は語っていた。
「ナバホ語の暗号は第2次大戦の最も重要な軍事機密の1つだった。海兵隊はナバホの兵士に暗号の作り方を教えなかったが、このこと自体が私たちという人間と、私たちの能力への信頼の現れだった」と、生前のネズ氏は語っていた。
第2次大戦のナバホ族暗号兵、死去