(CNN) 3月に消息を絶ったマレーシア機の捜索に当たっているオーストラリア運輸安全局(ATSB)は、インド洋南部の海底捜索作業を28日でいったん打ち切ると発表した。再開は早くても8月になる見通し。
現場の海域では現在、オーストラリアの軍艦「オーシャンシールド」から米国の無人潜水艇「ブルーフィン21」を操作して海底の捜索が続けられているが、この作業を28日でいったん中断。2カ月後をめどに新しい潜水艇を投入して捜索を再開する。
ATSBの幹部によると、オーストラリア政府は次の段階の捜索に向けて、6月1日の週にも受注業者を募る入札を公告する。落札した業者との契約は2カ月以内に済ませたい意向。マレーシアや中国当局との関係についてはコメントを避けた。
ブルーフィン21ではオーストラリア西部沿岸から約1600キロ離れた海域で、深さ4500メートルにも達する海底の捜索が20回あまりにわたって行われてきた。
この海域では4月5~8日に、オーシャンシールドが4回にわたって、マレーシア機のブラックボックスから発信されたと思われる音響信号を検知。しかしこれまでの捜索で痕跡を見つけることはできなかった。
オーストラリア政府の推計によると、次の段階の捜索にかかる費用は約6000万ドル(約61億円)。負担割合は非公開だが、マレーシアと中国が相当額を負担するとみられる。
一方、現場の海域には24日、中国の測量船「竺可楨」が到着し、海底地形図の作成作業を開始した。
同船はマレーシア機が墜落した可能性のある約6万平方キロあまりの地形図を作成する。6月初旬には民間の調査船もこの作業に加わる見通し。
同船のデータは1週間に1度、別の中国船を通じてオーストラリアの首都キャンベラに送られて地科学研究所で処理される。現場の海域の地形図作成には約3カ月かかる見通し。
ただ当局者によれば、捜索範囲は今後また変更になる可能性もあるという。
英衛星通信会社インマルサットのデータについては、同機が墜落した可能性が最も高い地点を突き止めるため、各国の専門家でつくるチームが解析を続けている。この作業はあと2~3週間で完了する見通し。
しかしマレーシア機に搭乗していた乗客の家族は、現在の捜索範囲に疑問を持つ人も多く、インマルサットの生データを公開して第三者に検証させることを求めている。
マレーシア当局は26日にもこのデータを公開し、専門家チームが現在の結論に達した経緯についても説明する予定。
マレーシア航空MH370便(ボーイング777-200ER)は3月8日、乗員乗客239人を乗せてクアラルンプールから北京に向かう途中で消息を絶った。マレーシアの首相は同月24日、同機の飛行はインド洋南部で途絶えたと発表していた。