タイ国軍、クーデターを宣言 市民は平静

バンコクに展開する軍兵士

2014.05.23 Fri posted at 10:05 JST

バンコク(CNN) 政治的混乱が続いていたタイで22日、国軍トップのプラユット司令官がテレビ演説を行ってクーデターを宣言した。軍が権限を掌握して憲法は停止され、政権幹部らは拘束された。

軍は20日に戒厳令を発令し事態打開に向けて与野党幹部や政府支持派と反対派のデモ指導者を集めて会議を開いていた。

しかし政府支持派の弁護士によれば、22日の会議に出席していた政治指導者らは軍に連行され、拘束されたという。

軍は声明を発表し、新首相が決まるまでプラユット司令官が首相を代行すると表明。2007年に制定された憲法は、国王を国家元首と定めた第2条を除いて無効とした。

タイ全土で学校は23日から25日まで休校となり、午後10時から午前5時までの夜間外出禁止令が発令された。国営テレビや衛星テレビ、ケーブルテレビは軍の放送のみを流すよう命じられ、現地のCNNは放送禁止となった。

プラユット司令官はテレビ演説で今回の措置について、秩序を回復し、改革を促すために必要だったと強調した。市民には普段通りの生活を続けるよう促し、公務員も職場に戻るよう指示。外国人は旅行者や外交官も含めて安全を確保するとした。

軍関連施設の前を固める兵士

タイで軍が実権を握るのは、1932年に立憲君主制に移行して以来、今回で12回目。クーデターを経験するのは2回目というバンコク在住の男性によれば、コンビニエンスストアが閉まっているなどの違いはあるものの、市民にそれほどの動揺はなく、普段通りの生活を続けているという。

今回の事態を受けて国連の潘基文(パンギムン)事務総長は、「速やかな憲法の回復と文民による民主的な統治の回復、全関係者間の対話」を促した。

米国務省のケリー長官は、政治指導部の拘束や報道機関の閉鎖、憲法の停止に失望と懸念を表明、「軍事クーデターは正当化できない」と強調した。

米国務省のサキ報道官は、22日午後現在、タイ国軍当局者とは接触できていないと説明。米政府はタイに対し年間約1000万ドル(約10億円)の援助を行っているが、両国間のそうした関係については軍事的関係も含めて「包括的な見直し」を行うと述べ、軍事的関係や援助の停止に向けた予備的な措置を取ったことを明らかにした。

タイ国軍、クーデターを宣言

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