存在感増しつつある中古車市場、新たな商機か 中国

中国で中古車市場がブームとなっているという

2014.06.08 Sun posted at 17:41 JST

(CNN) 世界最大の自動車市場のひとつとなった中国。新車販売だけではなく、中古車市場も活況を呈しているという。そこで、CNN取材班が現地を訪れ、実際に中古車を探してみた。

向かった先は南部の工業都市・東莞にある「東莞中古車取引センター」。売られているのは欧米車と日本車が多い。東莞で中古車販売を手がけて10年以上になるベテラン、リー・ティエンユー氏に話を聞くと、独フォルクスワーゲン「ジェッタ」の2006年モデルを勧められた。

「この車を以前に所有していたのは1人だけ、それも私なんです。ですからお買い得です。約束します」とのこと。値段を尋ねると、6万8000人民元(約110万円)という数字が返ってきた。記者のため特別にその場で15%値引きしてくれたらしい。

中古車ビジネスが好調なのは東莞だけではない。需要増に応じ、中国全土で新たに市場が出現している。

以前の中国では中古車を買うのは妥協とみなされ、なかなか売れなかった。しかし近年では、手頃な値段で悪くない車が手に入るとの認識が人々に浸透しつつあり、事情は変わってきている。

調査会社リサーチ・イン・チャイナの報告書によると、2013年の中国における中古車販売数は前年比8.6%増の520万台。売上高は10.6%増の2910億人民元(約4兆7000億円)に達した。

中国の自動車販売に占める中古車の割合は19.1%で、72.4%を占める米国と比べると依然として少ない。この先さらなる市場の拡大が予想され、各社が商機をうかがっている。

東莞で高級中古車販売を手掛ける「アントン中古車」も、こうした波に乗る会社の一つだ。04年に創業して以来、事業を急速に拡大させてきた。当初はごく小規模な店舗だったのが、今では100台以上の高級車をそろえる。

同社の社長に勧められたのは、ほとんど新車同然のメルセデス・ベンツ「E260」。わずか43万8000人民元(約720万円)という信じがたい値段だ。「前の所有者がマカオで全財産を失ってしまい、1度も運転しないまま手放した」とのこと。買う気があるなら1万8000元を値引きするとも言われた。

中古車販売に携わる人々はどこか怪しいのではないかとの固定観念は拭いがたい。実際、今回の取材で見えてきた中国中古車市場の姿は、実に不透明だ。

安全面での懸念も存在するが・・・

まず、市場が著しく断片化されている。なかにはサッカースタジアムのように巨大な売り場もあるが、基本的には、数台を路上に駐車してあるだけのごく小さな販売店が多い。大抵、店員がその場におらず、販売員を電話で呼び出さねばならない。

また、市場がまだ未成熟であるため、値段の比較も難しい。顧客同士で情報交換をするためのウェブサイトも登場しているが、正確な情報はなかなか得られないのが現状だ。

さらに大きな懸念となるのは、安全面の問題だ。東莞のディーラーはたいてい決まって開口一番、「事故を起こしたことはない」などと言うが、実際には多くの中古車に事故歴がある。現地の顧客に聞くと、中国で中古車を購入するのはギャンブルのようなものだという。

特に中国車に関しては、安全基準を満たしていないのではないかと心配する声が強い。欧州の衝突安全テスト「ユーロNCAP」で中国車が初めて満点の5つ星を獲得したのは、つい昨年のことだ。

まず売り場を訪れ、オンラインで値段を確認し、販売員の言葉には耳を貸さない――これが中国で中古車を購入する際の秘訣(ひけつ)のようだ。

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