パソコン乗っ取り、世界で一斉摘発 90人以上逮捕

ミス・ティーンUSAに選ばれたキャシディ・ウルフさんも被害者に

2014.05.20 Tue posted at 12:35 JST

ワシントン(CNN) 米連邦捜査局(FBI)は19日までに、世界19カ国の警察と協力して、他人のパソコンの乗っ取りを可能にする悪質ソフト「Blackshades(ブラックシェーズ)」の開発者や使用者の摘発作戦を実施し、90人以上を逮捕した。

Blackshadesの被害者は全世界で約70万人に上ると推定される。米当局は2年前から水面下の捜査を続け、このほど一斉摘発に乗り出した。

世界各地で先週、捜査員らが一斉に容疑者宅の捜索を始めると、ハッカーの情報交換サイトは騒然となった。捜索先は約300カ所に上り、同ソフトの開発者のひとりとみられるスウェーデン人ハッカーがモルドバで逮捕された。

米国内でも40以上の都市を中心に作戦を展開し、ニューヨーク市内ではハッキングを共謀、実行した容疑などで2人を逮捕した。

Blackshadesはわずか40ドル(約4100円)で販売され、パソコンの知識が乏しい利用者でも簡単にインストールすることができる。他人のパソコンを乗っ取って、相手に気付かれないままカメラのスイッチを入れたり記憶装置にアクセスしたりすることができるほか、キーボード操作を読み取ってパスワードを盗むことも可能な悪質ソフトだ。

ウルフさんはCNNの番組に出演し被害の実態を語った

この数年、サイバー犯罪向けの遠隔アクセス・ツールとして世界各地に広がり、脅迫や銀行詐欺など、さまざまな犯罪に使われてきた。

昨年のミス・ティーンUSAに選ばれたキャシディ・ウルフさんも、被害者のひとりだ。昨年3月に匿名の電子メールで、寝室のパソコンから知らないうちに撮影された裸体の画像などを送り付けられ、「ただちに言うことを聞かないと画像を流出させる」と脅されたという。

ウルフさんの元同級生の男子学生(20)が有罪を認め、今年3月に禁錮1年半の刑を言い渡された。この学生はBlackshadesを使い、1年前からウルフさんの寝室をのぞいていたことが分かった。FBIの調べに対し、全米各地やロシア、アイルランドのコンピューター計約150台を遠隔操作していたと供述したという。

FBIのサイバー犯罪専門家によると、被害者には一見ごく普通の交流サイト(SNS)のメッセージや電子メールが送られるケースが多い。その中に記載されたリンクをクリックすると、悪意のあるプログラムがダウンロードされる仕掛けになっているという。ウルフさんの場合、乗っ取られたパソコンからさらに別の友人にもメッセージが送られて、被害が拡大した。

ウルフさんは「だれにでも起こり得ること」と話し、若者たちにネット上の安全対策を心がけるよう呼び掛けている。

ハッキング被害者に聞く 乗っ取りの実態

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