東京(CNN) 訪日中のオバマ米大統領は24日、安倍晋三首相との首脳会談後の共同記者会見で日中間の摩擦材料となっている尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題に触れ、不測の事態が発生した場合、日米安全保障条約の適用対象になると言明した。
安保条約は過去数十年機能しており、尖閣諸島に絡む衝突などの事態が発生した場合、適用されると断言。ただ、紛争などが起きた場合の米国の関与の在り方には触れなかった。
また、クリミア半島がロシアに併合されたウクライナ情勢など国際的な領土紛争問題に言及しながら、尖閣諸島の帰属権については米国の立場の表明を控える従来の基本姿勢を改めて示した。
状況を悪化させず、修辞の言動に走らず、挑発的な行動を控えて日中間の協力的な行動を試みる意義を安倍首相と共に強調したいと述べた。
その上で、日中両国に対話を通じた平和的な解決方法の模索を要請。「我々は、全ての国家が領土論争を解決させる国際的かつ基本的な手順を踏まえることを確保したいとの立場にある」とも強調した。
一方、安倍首相は今回の会談を受け、オバマ氏以上に日米間の軍事協力関係が強化された意義を強調。同盟関係への信頼感が増幅したとも述べたが、アジア近隣諸国への警告の意味合いはないとも付け加えた。
同時に、日本は島々の領有権論争で威嚇の行動には屈しないことを示唆し、脅しを用いた現状維持の変化への試みは容認しないと強調した。アジアを法治重視の平和的な地域にしたいと述べ、この目標に向けた国間の同盟関係の強化は極めて重要と語った。
一方、今回の日米首脳会談では自由貿易を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)交渉における両国間の農産物、自動車などでの合意成立も焦点の1つだったが、首脳会談に向けた大筋決着は実現しなかった。
両首脳は、協議は優先課題であり、継続されると指摘。オバマ氏は会見で、農産物や自動車問題などが決着する段階にあり、包括的な合意を得るためには大胆な手法が必要との認識を表明。「この目標が達せられると信じている」と述べた。
オバマ氏の1週間にわたるアジア諸国歴訪では、訪日後、韓国、マレーシアとフィリピンを訪れる。
日米首脳の共同記者会見