オバマ米大統領、4カ国歴訪 「アジア重視」強調へ

23日から日本をはじめとするアジア4カ国を訪問するオバマ米大統領

2014.04.22 Tue posted at 18:39 JST

(CNN) オバマ米大統領は23日から日本と韓国、マレーシア、フィリピンを歴訪する。昨年10月に米政府機関閉鎖問題でキャンセルした予定を埋め合わせ、アジア重視の姿勢を改めて強調する構えだ。

オバマ大統領は1期目の任期中、当時のクリントン国務長官とともに「アジアへの軸足移動」を打ち出したが、実際にはイランの核問題や最近のウクライナ情勢がはるかに大きな注目を集めてきた。

アジア太平洋地域で軍事的存在感を高めるという目標の前にも、国防予算の大幅削減という現実が立ちはだかった。

米戦略国際問題研究所(CSIS)の対アジア政策専門家、ビクター・チャ氏は先週の記者会見で、「アジアは米国の注意が多少それているように感じていると思う。公の場で言われなくても、非公開の会合では軸足がいったいどこにあるのかという疑問をぶつけられるだろう」と指摘。

「その溝を埋めるために、アジア関与の意思をはっきりと伝えることが重要だ」と述べた。

日本ではTPPについての協議も行われる見通し

政権当局者らは、米政府が一度にひとつの地域だけでなく、複数の地域にも注意を向けることができると強調する。

米国家安全保障会議(NSC)のアジア担当上級部長に就任したエバン・メデイロス氏は、「私たちは歩きながら同時にガムをかむこともできる。今回の歴訪はその一例だ」と話し、「米政府の中でアジア太平洋地域での国益増進に専念する部署の規模は非常に大きく、私自身もその一部だ」と説明した。

歴訪中に大きな発表は予定されていないが、大統領は各国で米国の関与姿勢を改めてアピールする構えだ。

日本では環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の進展を目指す。ただ米議会では、与党・民主党の議員らが今秋の中間選挙をにらんで慎重な姿勢を示している。東京では日本科学未来館でのイベントにも参加する予定だ。

フィリピンとの間で締結する新たな防衛協定は、米軍が中国に対抗してアジアへの展開を拡大する足掛かりとなる。

日本、韓国、マレーシア、フィリピンの各国を訪問する

ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日の会見で「歴訪は同盟関係とパートナーシップを固め、現代化する機会になる」と述べ、「不安定な安全保障環境のなかで同盟国との関係は強まっている」との認識を示した。

オバマ大統領がウクライナへの軍事介入を明確に否定していることから、中国との間に領土問題を抱えるアジア諸国が「自分も見捨てられるのでは」と不安を感じているとの見方もある。

これに対して元NSCアジア担当上級部長のジェフリー・ベーダ―氏は、「日本や台湾が神経質になっているという認識は根本的に間違っている。日米安保条約には50年以上の歴史があり、その強固さは北大西洋条約機構(NATO)に匹敵する」と述べた。

韓国とマレーシアはそれぞれ旅客船沈没と航空機失踪という緊急事態に直面している。オバマ大統領はソウル訪問に際し、沈没事故の犠牲者の遺族らに弔意を伝える見通しだ。

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