「旅をするな、探検せよ」 探検家が語る地球の未開地

世界最大規模のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」=豪クイーンズランド州観光局

2014.04.18 Fri posted at 17:03 JST

(CNN) 人類が探索すべき、興奮に満ちた「新たなフロンティア」は、宇宙ではなく、この地球上にあると語るのは、英国の偉大な探検家ロビン・ハンベリーテニソン氏(77)だ。

大英帝国勲章の受章者で、プリマス大学の名誉科学博士でもあるハンベリーテニソン氏が、探検の「新たなフロンティア」と考えているのは、熱帯雨林の林冠(キャノピー)、洞窟、サンゴ礁の3つだ。

熱帯雨林の林冠は新種の宝庫で、最近、熱気球を使った調査が始まっている。また洞窟も、これまで世界で発見されたのは全体のわずか10%に過ぎない。さらに優秀な技術のおかげで、これまで謎に包まれていたサンゴ礁の秘密も明らかになりつつある。これら未知の領域を探検する上で鍵となるのは科学だ。

旅をするな、探検せよ

過去60年間に30以上の探検隊を率いたハンベリーテニソン氏は、目的地に到達し、数枚の記念写真を撮る程度の興奮では満足しない。

「真の興奮を味わえるのは、単なる旅行者と探検家・科学者の間の境界を乗り越えた時だ。その境界を乗り越えて初めて、実際に世界を救い、人々に何が間違っているかを説き、環境保護を訴えることができる」とハンベリーテニソン氏は語る。

旅行者から探検家へと飛躍するのは決して容易ではないが、うまくやれば不可能ではないという。まず、自分が話す内容をきちんと把握する必要がある。すなわち、自分で定めた行き先に関する資料や文献をなるべくたくさん読むことだ。

「常に敬意を持って人々と接し、人々に溶け込み、地元の人々と同じように生活し、外部の世界の物をあまり持ち込まなければ、集団で押し寄せる観光客のように現地に害を及ぼすことなく、その地域に貢献できる」とハンベリーテニソン氏は言う。

科学的探検に参加・貢献したい人は、たとえ科学の学位がなくても、懸命に努力し、謙虚でいる覚悟があれば、何ら問題はない、とハンベリーテニソン氏は語る。

どうすれば探検家になれるのか

ハンベリーテニソン氏によると、世界には多くの研究センターがあり、正しい方法でアプローチすれば受け入れてくれるという。

「探検家になりたければ、研究所を訪れるといい。ペルーにはすばらしい研究所がたくさんある。そして『研究所の掃除をします。その代り皆さんがオオカワウソを探しに行く時に、また戻ってきていいでしょうか』と言うのだ。彼らにとって役立つ存在になるのがコツだ」(ハンベリーテニソン氏)

探検家志望者の中には、地球が未開の惑星で、チャールズ・ダーウィンやアルフレッド・ラッセル・ウォレスといったビクトリア時代の偉大な探検家たちが旅に出て、斬新かつ刺激的な文献や話を山ほど持ち帰っていた時代を懐かしく思う者がいる。

しかしハンベリーテニソン氏は、地球には探検すべき場所、発見すべき新種が数多く残されており、探検の重要性はかつてないほど高まっているという。

「目的地にすでに誰かが訪れたことがあるかどうかは重要ではない。最初の到達者になることが目的ではない。重要なのは、その場所についてより深く理解し、学ぶことだ」とハンベリーテニソン氏は語る。

ハンベリーテニソン氏はまた、「そして、今はこれまで以上に緊急を要する。熱帯雨林がいかに刺激的で興味深いかを発見する前に、次々と伐採され、破壊されているからだ」と述べる。

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