損傷した脊髄に電気刺激、まひした機能が一部回復 米研究

電気刺激を与えることで体を動かせるようになるという

2014.04.14 Mon posted at 17:15 JST

(CNN) 脊髄(せきずい)損傷で身体機能がまひした患者の脊髄に電気的な刺激を与えたところ、一部の機能が回復したとして、米ルイズビル大学などの研究チームがこのほど神経学会誌「ブレーン」に研究結果を発表した。

同大学の研究者スーザン・ハーケマ氏は、男性患者の損傷した脊髄に電気的な刺激を与える実験をしていた。実験の目的は神経の経路を調べることにあり、身体機能の回復は目的としていなかった。

ところがモニター画面を見ていたハーケマ氏は、「見て。つま先が動かせるよ」という患者の言葉に驚いて振り返った。

最初は、けいれんの反応と考えたが、患者はハーケマ氏の指示に従って、両足のつま先を動かして見せた。

その後の5年間で同氏のチームは、身体機能がまひした男性患者3人に電気刺激を与える実験を実施。最初の1人を含めた4人全員が、親指を動かしたり脚を持ち上げたり、助けを借りずに起き上がったりできるようになった。2人は腹筋運動までできた。

CNNの取材に答えるスーザン・ハーケマ氏

脊髄に直接電気刺激を与えて患者が自分で体を動かせるようになった事例は今回が初めてだといい、身体まひの患者の機能回復に向けた謎を解く手がかりになると期待される。

この技術については1700人を超す患者から問い合わせがあった。ただ現時点では、この技術を使っても再び歩けるようになるわけではなく、いずれ可能になるという保証もない。

1回の刺激で動かせるのは片足のみ。もう一方の足や胴体など別の部分の筋肉を動かすためには、いったん刺激装置のスイッチを切って、やり直す必要がある。

それでも被験者となった4人目の男性は、膀胱(ぼうこう)や腸、性的機能が劇的に改善したと話す。さらに、何年も足や胴体を動かせなかった患者が動けるようになったことで、心肺機能も改善していることが検査で実証されたという。

損傷した脊髄、電気刺激で機能回復

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