ダラス(CNN) 厳しい表情のプーチン氏、くつろいだ様子のブレア氏、満面の笑みを浮かべる小泉氏――。米国のブッシュ前大統領が在任中に出会った世界各国の首脳ら30人の肖像画を描き、テキサス州ダラスにある「ジョージ・W・ブッシュ大統領センター」の記念図書館で公開している。
「アート・オブ・リーダーシップ」と題したこの展示は5日に始まった。肖像画のほか、首脳らとの交流を振り返る写真や記念品も並んでいる。大統領センターのスペリングス所長は、作品を公開することでブッシュ氏のイメージの幅を広げ、首脳らとの個人的な人間関係に基づいた外交手腕を改めて紹介したいと話した。
ブッシュ氏は4日、NBCテレビの番組に出演し、肖像画展について語った。同氏の娘でNBC記者のジェナさんが聞き手を務めた。
ブッシュ氏はインタビューで「各国の首脳は、ジョージ・ブッシュも絵が描けるのかと驚くだろう。肖像画のことを聞いて棒人間のような作品を予想していたに違いない」と話した。
一番気に入っているのは、父親のブッシュ元大統領を描いた作品。温厚な性格を表現したという。
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は「優しさ」を強調し、多くの時間をともに過ごしたブレア元首相は「親愛の情をこめ、情熱的で信頼できる人物として描いた」と説明する。
尊敬するチャーチル元英首相が芸術を趣味にしていたという話を読み、自分もやってみようと2年前に絵を描き始めた。最初は動物などを描いていたが、地元大学の芸術学教授から「細部をとらえる力がある。世界の指導者たちを描いてみては」と勧められた。
首脳らの写真を何枚も見て表情や服装を観察してから制作に取り掛かる。作品を通して首脳らへの友情を表現したいと語り、「決して上手ではないが、上達したいと思っている」と熱意を示した。
家族によると、ブッシュ氏は新設したアトリエに何時間もこもり、音楽を聴きながら制作に打ち込んでいるという。
ブッシュ氏の支持率は2009年の退任時が40%で、同年3月には35%まで落ち込んだ。しかしその後、アフリカのエイズ患者救済や米退役軍人への雇用支援といった事業への尽力が評価され、昨年6月の世論調査では「好感を持つ」と答えた人が49%と、「好感を持たない」の46%を上回った。