精神科医に聞く不安への対処法

不安への対処法は?=STEWART SCOTT-CURRAN氏提供

2014.08.01 Fri posted at 17:32 JST

(CNN) 現代社会において慢性的な不安症状に悩まされている人は多い。不安を解消するために酒を飲む人もいれば、米国の一部の州で使用が認められたマリフアナ(乾燥大麻)に依存する人もいる。米アリゾナ大学准教授の精神科医チャールズ・レーソン博士が医学的な見地から、CNN読者から寄せられた不安障害やうつ病対策に関する質問に答える。

質問:不安に対処する上で、飲酒やマリフアナの使用は効果があるか。注意すべき点は何か。

レーソン博士:アルコールやマリフアナを日常的に摂取していると、不安障害やうつ病発症のリスクが高まるというのが、多くの研究の示唆するところだ。思春期に日常的にマリフアナを吸引していると、統合失調症など重い精神疾患を発症するリスク要因にもなりうる。飲酒の危険性については昔から指摘されてきた通りだ。

こうした留保を踏まえた上で言えば、マリフアナに含まれる化学物質は体の痛みを和らげるのに有望とされている。また脳内のカンナビノイド受容体に作用し、精神状態を変えることが明らかになってきた。いわゆる「ランナーズ・ハイ」に似た状態だ。

経験豊富な精神科医の話として、抗うつ剤が効かない重いうつ病患者に少量のマリフアナを使用したところ改善がみられたという報告もある。

ただ、現時点ではやはり問題が残る。マリフアナやアルコールの摂取と精神疾患の関連を調べた研究は多いが、私の知る範囲で、治療効果について厳密な結果は出ていない。

医学的な観点から摂取上の注意点について答えるのは簡単だ。摂取後に症状が悪化しないかを確認した上で、中毒にならないよう細心の注意を払う必要がある。マリフアナやアルコールにどんな効用があろうとも、乱用した時点で台無しになってしまう。

質問:不安に対処するにあたって、薬を服用したくない(あるいは服用するのが怖い)人には、どのような治療法があるか。不安な気持ちを軽減する方法があるか。薬の服用が必須になるような時点はあるか。

レーソン博士:薬に頼らない治療法として最も研究が進んでいるのは、心理療法だ。多くの研究の結果、心理療法は平均的に、薬を用いた治療と同等の成績を上げることが示されてきた。心理療法にもさまざまな種類あるが、第1に挙げられるのは認知行動療法(CBT)だろう。

いずれの心理療法においても、成功の鍵を握るのは患者とセラピストの「相性」。要するに、セラピストと話していて心地が良いかどうかだ。不快感を覚えるようであれば治療成功の望みは少ない。

心理療法ほどの実証的な裏付けはないが、運動が精神衛生上良いことも判明している。

特にうつ病に関しては運動が有効だ。筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせると良い。最適なのは、週5日、毎日最低30分運動し、息切れして会話が難しくなる程度の負荷をかけることだ。

抗うつ薬の効果が十分でない場合、サムイー(SAMe)やL―メチル葉酸のようなサプリメントの利用も有望とみられている。これらの物質単体でも効果があると考える専門家は多いが、実証にはもう少しデータが必要だろう。

冬になるたびにうつ病を発症するようであれば、高照度光照射装置を利用して、1万ルクス以上の光を浴びるのが効果的だ。約10%の人は冬になると何らかの気分の落ち込みを経験する。冬季うつ病に対処する上では光療法は特に有効なのだが、残念なことに見過ごされがちだ。

非伝統的な治療法を頑として信じる人も多い。最終的な判断基準となるのは、その治療法が助けになると感じるかどうか、有害作用がないかどうかだ。

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