太陽光ランプで無電化村を救え

グリーンライト・プラネットの太陽光ランプは縫製工場の現場でも使われているという=同社提供

2014.07.07 Mon posted at 17:56 JST

ニューヨーク(CNNMoney) アジアやアフリカでは15億人近い人々が送電網から外れ、深刻な電力不足のなかで生活を送っている。灯油ランプが唯一の光源となることも多いが、有毒ガスを発生したり、火事になったりするなどの危険を伴う。

こうした状況を変えるべくグリーンライト・プラネット社を立ち上げたのが、パトリック・ウォルシュ氏だ。

米シカゴに本拠を構える同社は、冒頭のような無電化村に向けて、太陽光を電源とするランプを製造している。2009年の創業以来、180万個のランプを売った。ランプの値段は11~40米ドル(約1100~4000円)で、現地の人々の約2週間分の収入にあたる。

同社は需要急増の追い風を受けてこのほど黒字化。13年には2000万ドル(約20億円)の収益を上げた。今年のランプ販売数は400万個に及ぶと予想、16年までに1600万世帯に行き渡ることを目指している。

同社で特筆すべきなのは、農村部に廉価で安全なランプを普及させるという明確な社会的使命を背負いながらも、あくまで企業としての利益追求を目指していることだ。

アフリカなどでは電力の届いていない地域も多い

ウォルシュ氏は「慈善事業で配布するのではなく、消費者がお金を払って私たちの製品を買うのだから、その製品には真の付加価値がついてこなければならないし、市場の厳しい要求を満たす必要もある」と自社のビジネスモデルを説明する。

社会的使命を帯びたエネルギー会社、という着想を同氏が最初に得たのは05年、インドで国境なき技師団の一員として働いていた時だった。灯油ランプの危険性を直接に目の当たりにしたのも、この時のことだ。

数年後、米イリノイ大学に戻った同氏は、同級生とチームを組んで60万ドル(約6000万円)のベンチャー資金を調達、グリーンライト・プラネット社を立ち上げる。09年には太陽光ランプを1万個売るまでに成長。その後も順調に業績を拡大させた。

もっとも、同社が革命的だったのは製品だけではない。現地の人を販売員として活用するというユニークな流通モデルを作り上げ、成功させたのも画期的だった。多数の商品を扱う小売店を通すのではなく、ランプを真に必要とする家庭に主体的に売り込んでいこう、という判断だった。

手数料の一部が現地販売員の手に渡り、貴重な副収入源となることもあって、販売網は拡大の一途をたどった。

携帯電話の充電にも利用できるという

販売員も11年の600人から現在の6000人にまで増員、インド国内5州において月4万個を販売している。目下、東アフリカでも似たような販売路の導入が計画されている。

太陽光ランプには4種類のモデルがあり、いずれも中国製。作りはいたって簡単だ。モデルによって直径4.5~6インチ(約11~15センチ)の大きさのものがあり、スタンドに取り付けるか、頭上から釣り下げて使う。3段階調光で、丸一日充電すれば24時間から30時間にわたって照明が持続する。

高価格モデルの2種は、電話の充電器として使うこともできる。

南アジアや東アフリカのような地域にも携帯電話が普及しつつあるが、無電化村では充電しにくいのが難点。同社の海外展開を担当するラディカ・サッカー氏によると、現状、数日ごとに遠距離を歩いていき、業者にお金を払って充電しなければならない。

同氏は「ちょっとした時間に自分で充電できるようになれば、情報へのアクセスという意味で、大きな意味を持つだろう」と話す。

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