(CNN) 米ジョージタウン大学などの研究チームは10日までに、将来的にアルツハイマー病を発症するかどうかを極めて高い精度で予見できる血液検査法を開発したと発表した。
現時点でアルツハイマー病を予見するには陽電子放射断層撮影(PET)や脊椎(せきつい)穿刺(せんし)など高額な検査を受けるしかない。しかしこうした検査は危険を伴うこともあり、精度は必ずしも高くない。
今回の研究結果はジョージタウン大学とロチェスター大学の研究チームが医学誌ネイチャー・メディシンに発表した。研究チームは血液検査で手軽に調べられる脂肪の値に着目。米ニューヨーク州とカリフォルニア州に住む70歳以上の健康な高齢者数百人の血液を調べた。
このうち28人が5年後に、アルツハイマー病やその前兆となる軽度の認知症状を発症。この28人の脂質を調べたところ、特定の10種類の脂質の値が、発症しなかった人に比べて低くなっていたことが分かった。
検証のため、アルツハイマーや認知症状を発症している別の54人の血液を調べ、やはりこの脂質の値が低いことを確認した。
この血液検査法では、90%以上の精度でアルツハイマー病や認知障害を発症するかどうかを予見できるという。症状が表れる前から予測できるのが特徴で、研究者は、脳の細胞が死滅し始めるのと同時に脂質の濃度も低下し始めるようだと解説している。
今後は40代と50代を対象にこの検査法を試すことにしており、効果が確認されれば、アルツハイマーの発症が予想される人のための医薬品や治療法などの研究加速につながると研究チームは期待を寄せている。
血液検査でアルツハイマー予見