国境なき医師団が活動停止に、他団体にも波及か ミャンマー

ラカイン州で生活するロヒンギャ族の人々=2012年

2014.03.05 Wed posted at 14:01 JST

(CNN) ミャンマー西部ラカイン州で少数派イスラム教徒ロヒンギャ族の住民らの医療・人道援助にあたっていた国際NPO「国境なき医師団」(MSF)が活動停止を命じられたことに対し、ほかの支援団体も同様の処分を受ける恐れがあるとの懸念が広まっている。

ミャンマー政府は先週、MSFの援助対象がロヒンギャ族に偏っていることを理由に、同州での活動停止を命じた。MSFは「深い衝撃を受けている」と述べ、支援は医療上の必要性のみに基づいて提供されると主張した。

同州には推定80万~100万人のロヒンギャ族が暮らしているが、ミャンマー国籍は認められていない。仮設キャンプに閉じ込められて教育、雇用の機会や土地所有の権利も与えられず、困難な生活を強いられている。

この問題を扱う人権団体「アラカン・プロジェクト」の設立者クリス・レワ氏は、ロヒンギャ族の排斥を訴える過激派らのデモに政府が屈したとして、強い懸念を示した。

レワ氏は「MSFのような支援を提供している国際団体はほかにない。ロヒンギャ族をはじめ、支援に依存してきた少数民族が壊滅的な影響を受けることになる」と話す。

ミャンマーのロヒンギャ族

レワ氏はさらに「デモの矛先はMSFだけでなく、ほかの国際団体や国連、さらに国際赤十字にも向けられていた」と指摘し、こうした団体の活動も停止される恐れがあると述べた。

国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」もミャンマー政府を非難し、遺憾を表明した。

同州では昨年後半から国際支援団体への反感が強まっていた。これを受けて一時撤退を決めた団体もある。MSFは、複数の負傷者が出た現場でロヒンギャ族だけを病院へ運んだなどと批判されていた。

また、今年1月に治安部隊員らがロヒンギャ族40人以上を殺害したとされる事件で、負傷者22人を手当てしたと発表。大統領報道官から「根拠のない情報を広めることで意図的に地域社会の緊張をあおっている」と非難された。

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