アラブ首長国連邦アブダビ(CNN) アラブ首相国連邦(UAE)の宗教機関GAIAEがイスラム教の教えに基づく公式見解として、イスラム教徒は火星旅行に行ってはならないとする宗教令を出した。
火星旅行を巡っては、オランダの非営利団体マーズ・ワンが2024年までに人類を火星に定住させる計画を発表し、参加者の募集に乗り出している。
しかしGAIAEは、火星旅行は自殺に等しいとの見解を発表し、「火星に生命が存在しないのであれば、火星に行ったまま戻って来ない旅は容認できない。生き延びるよりも死ぬ確率の方が高い」とする声明を出した。イスラム教では信者が自ら命を絶つことを禁じている。
これに対してマーズ・ワンは、命が危険にさらされるリスクを減らすためにあらゆる措置を講じていると述べ、この宗教令の撤回をUAEに求めた。
さらに、「イスラム教徒は『天と地』における神の創造の証しを探し求めよ」と説いたコーランの1節を引用し、火星の最初の定住者は、14世紀に北アフリカと中東、アジアを旅したイスラム教徒のモロッコ人探検家イブン・バトゥータの足跡をたどることになると言い添えた。
マーズ・ワンによると、火星定住計画には世界107カ国から20万人を超す応募があり、この中から候補者を1058人に絞り込んだ。イスラム教徒の数は分かっていない。
UAEはこれまでのところ宇宙旅行に協力的で、宇宙観光ツアーを企画しているヴァージン・ギャラクティック社の設立にはアブダビの投資ファンドもかかわった。同社のツアーは年内に実現する見通し。