ウクライナ大統領が「停戦」を宣言 国際社会は制裁の構え

デモ隊と治安部隊との間で衝突が起きている=19日

2014.02.20 Thu posted at 10:43 JST

ウクライナ・キエフ(CNN) 反政府デモが激化しているウクライナのヤヌコビッチ大統領は19日深夜、一時的な「停戦」を宣言し、これ以上の流血を防ぎ、恒久的な和平を達成するための交渉に入ると発表した。この声明には同国の主要野党3党も合意している。

ただし、これまでにも交渉は行われており、4日前には断続的な交渉で合意が成立し、デモ隊が首都キエフの市庁舎から撤収して市内の封鎖も解除。しかし18日になって再び衝突が再燃した。

当局によると、キエフの独立広場周辺で起きた衝突による同日の死者は少なくとも26人に上り、デモ隊と警察の双方に犠牲者が出ているという。

キエフ中心部では19日深夜から20日未明にかけても停戦の気配は見られず、デモ隊の花火や治安部隊の衝撃弾と思われる爆発音が絶え間なく鳴り響いた。

デモ隊は警官隊への投石を続け、治安部隊は火炎瓶をデモ隊に向かって投げるなどして応酬している。

米国防当局者によると、ウクライナ軍は20日未明にかけて基地や武器庫の周辺で防戦態勢に入った。軍の施設の安全確保が目的のようだとしている。

独立広場付近の建物の前に並ぶ治安部隊=19日

国際社会はウクライナに対する圧力を強めている。メキシコ訪問中のオバマ米大統領は19日、「事態を注視している」と述べ、「平和的なデモには適切な対応を保証し、国民が抑圧を恐れず自由に集会を開いたり発言したりできるようにする責任はウクライナ政府にある」と語った。

フランス、ドイツ、ポーランドの外相は20日にキエフ入りして状況を視察し、ベルギーのブリュッセルで開かれる欧州連合(EU)の会合で報告する。さらに衝突が続けば、EU諸国や米国がヤヌコビッチ政権に対する制裁を発動する可能性もある。

欧州委員会のバローゾ委員長は、事態が悪化した場合、「暴力と過剰な武力を行使した者に的を絞った措置」で対応すると警告した。

米国務省高官は19日、記者団に対し、18日のデモ弾圧に責任があるウクライナ政府高官など20人に対する米国のビザ発給を停止すると発表した。

キャメロン英首相は、政府とデモ隊の双方による暴力は「一切容認できない」としたうえで、「ヤヌコビッチ大統領には特に、政府軍を撤収させ、事態のエスカレートを防ぐ責任がある」と強調した。

ウクライナ、抗議デモの現場

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