国連報告書、北朝鮮の「人道犯罪」を非難 訴追の警告も

2014.02.18 Tue posted at 11:15 JST

(CNN) 国連の北朝鮮人権調査委員会は17日、北朝鮮でさまざまな拷問や弱者への虐待が横行しているとの報告書を出し、国際刑事裁判所(ICC)への訴追も辞さない姿勢を示した。北朝鮮側は「政治的策略の手段にすぎない」と反発している。

同委員会は400ページに及ぶ報告書で、北朝鮮指導部が殺人や拷問、強制労働、性暴力、食糧難などを手段として体制強化や市民への脅迫を図っていると非難。「世界にも類がない残虐国家だ」と断じた。同時に、世界各国の指導者はこの苦難を傍観していてはならないと主張した。

同委員会はさらに、この調査結果をICCにも伝えるとの方針を示唆。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記への書簡で、人道犯罪で訴追される可能性を警告した。

これに対して北朝鮮当局は「北朝鮮の威信をおとしめ、人権擁護の名の下で国際的な圧力をあおることによって、社会主義体制を破壊しようとする策略だ」とする声明を発表した。

北朝鮮の金正恩第1書記=労働新聞から

同委員会は立ち入り調査や情報開示を要請したが、北朝鮮からの返答はないという。

報告書は、公聴会や聴き取り調査で得られた320人余りの証言を基にまとめられた。収容所に入れられていたというある市民は、「餓死寸前の状態で出産した女性を看守が殴打し、生まれたばかりの子どもを溺死させろと強要するのを見た」と話した。

テレビのメロドラマを見た、家族のために食料を探した、許可なしで旅行した、家族が犯罪の容疑者にされた――などの理由で収監されたとの証言もある。「収容所の中で多くの人々が死んでいくのを見るうちに慣れてしまい、何も感じなくなった」と話す元収容者もいた。

同委員会のカービー委員長は「もう知らなかったとは言えない」と話し、国際社会に行動を呼び掛けた。

北朝鮮の「人道犯罪」を非難 国連

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。