キリン処分の動物園に殺人予告、是非巡る論議白熱

キリンの殺処分をめぐり論争が起きている

2014.02.11 Tue posted at 10:58 JST

(CNN) 同系交配を防ぐ目的でキリンを殺処分したデンマークのコペンハーゲン動物園に対し、殺人予告メールや電話が相次いでいる。同動物園が10日に明らかにした。ネットやメディアでは殺処分や解体の様子を一般公開することの是非を巡る議論や、欧州と米国の文化の違いを巡る論争が白熱している。

コペンハーゲン動物園は9日にオスのキリン「マリウス」を処分して、解体する様子を観客に公開、死骸はライオンやトラの餌として与えた。これに先立ちネットで呼びかけられた助命嘆願には、2万7000人の署名が集まっていた。

動物園広報によれば、マリウスの処分を受けて職員数人が脅迫され、特に調査保全責任者のバンク・ホルスト氏に対しては名指しで電話とメールの脅迫があったという。

キリンの殺処分について、米国では一部の専門家から疑問を投げかける声も上がっている。

一方、欧州の345施設が加盟する欧州動物園水族館協会(EAZA)のレスリー・ディッキー代表は、デンマークの常識を巡る誤解が生じかねないと指摘する

ディッキー氏は「人々は恐らく広い視野を失っていて、我々動物園側は恐らく、ごくまれに今回のような決断をしなければならない理由についてうまく説明できていなかった」と語る。

コペンハーゲンの動物園でのキリンの様子=同園提供

コペンハーゲン動物園によると、マリウスの処分にはライフル銃を使い、好物のライ麦パンを食べようと首を伸ばしたところを撃ったという。

ホルスト氏は10日、解体の様子を公開した理由について、「自然界をディズニーワールドに仕立ててはならない」という思いがあったと説明、関心を持ってくれる人に「現実」を見せたかったと話した。

解体を見学した観客の中には子どももいたが、ほとんどの場合は親ではなく子どもの方が積極的に親を連れて来ていたという。

ディッキー氏によると、コペンハーゲン動物園では殺処分した動物全てを解剖し、死骸の一部は研究用に、残りは肉食動物の餌にしている。

「彼らには、解剖がどのように行われ、動物園の獣医の仕事とはどんなものかを一般に知らせるべきだという強い信念がある」と同氏は解説する。

交流サイトのフェイスブックには、同動物園を非難するコメントが殺到した。

しかし中には、殺処分の理由について理解しようとせず、自分が普段食べている肉の出所も知らないのに動物園を批判するのは偽善だという意見もあった。

ネットの助命嘆願は実らなかったが、10日には「キリンのマリウスを殺したコペンハーゲン動物園のバンク・ホルストを解雇しろ」と求める署名運動も浮上。同日午後までに1万6000を超す署名が集まっている。

米国では動物園や水族館の名誉園長の肩書を持つテレビコメンテーターのジャック・ハナ氏が、「確かに自然界では自然のことだ」「しかし自然界のことが分かっていない2歳や3歳や6歳の子どもに見せる必要はない」と発言した。

ただ、CNNが取材を申し込んだ多数の動物園は取材に応じなかった。米国の動物園水族館協会(AZA)は、「(EAZAの)制度や手順はAZAとは異なる」という短い談話を発表するにとどめた。

キリン殺処分を巡り議論

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