シリア政府、民家など数千棟を破壊 人権団体が報告

2014.01.31 Fri posted at 11:48 JST

(CNN) シリア政府が反体制派を支持する住民への見せしめのため、首都ダマスカスなどで民家や店舗など数千棟を破壊しているとして、米人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチが30日、住民の証言などを集めた報告書を発表した。

ダマスカスで飲食店を営んでいた男性は、ある朝突然、治安部隊がブルドーザーでやって来て立ち退きを迫られ、理由を尋ねると拘束すると脅されたと語った。店からは何も持ち出すことが許されず、バイクも置いたまま徒歩で退去させられたという。

男性は「振り返るとブルドーザーが私の店を破壊していた」「祖父の代から経営していた店だった。私の目の前で、一家の努力があっという間に破壊された」と証言している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、民家などの破壊はシリア政府がダマスカスや中部ハマの反体制派の拠点地域で、意図的に行っているという。

両都市で破壊前と破壊後の様子を写した衛星画像も併せて公開された。一帯の建物がまとめて破壊された地域が7カ所確認できると報告書は指摘。いずれも戦闘によるものではなく、軍が住民に退去を命じた上で、ブルドーザーと爆弾を使って破壊したとされ、被害は2012年7月以来、計145ヘクタールに及んでいるという。

当局や政府系メディアは建物の破壊について、違法建築の建物除去を目指す都市計画の一環と説明している。

これに対してヒューマン・ライツ・ウォッチは、政府支持の住民が多い地域では、違法建築の建物があっても民家の破壊などは行われていないと主張。シリア政府に対し、建物の破壊を直ちに中止し、退去させられた住人には補償と代替の住居を提供するよう求めている。

また、国連安全保障理事会に対しても、シリアの状況に言及するよう訴えた。

シリア政府、民家など数千棟を破壊 人権団体が報告

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