安倍首相がインド訪問、背後に中国の影

安倍首相

2014.01.27 Mon posted at 17:37 JST

(CNN) インドを訪問中の安倍晋三首相は26日、首都ニューデリーで開かれた「共和国記念日」の軍事パレードに出席した。中国が経済的、戦略的な勢力を強めるなかで、インドが日本との関係強化をいかに重視しているかがうかがえる。

インド政府は例年、関係強化を目指す相手国の首脳を共和国記念日に招待する。これまでにインドネシアや韓国の大統領が招かれてきた。

日本からは安倍首相の訪問に先立ち、小野寺防衛相が今月初めにインドを訪れ、安全保障分野での協力強化を話し合ったばかり。26日のパレードでは、インドの国産ミサイルなど最先端の兵器が公開された。同国は20日、核弾頭搭載可能な弾道ミサイル「アグニ4」の発射実験を成功させている。

インド海軍と日本の海上自衛隊は昨年6月、日本海域で初の合同演習を実施。12月にはインド南東部チェンナイ沖でも同様の演習を行った。両国は近年、インド南西部マラバル沖で米国、オーストラリア、シンガポールとの合同演習にも参加している。

アジア第2の経済大国である日本と第3位のインドは、ともに最大の経済国、中国との間に領土問題を抱えている。日本はこれまでも、中国への有力な対抗勢力としてインドに注目してきた。安倍首相は2007年の著書「美しい国へ」の中で、10年後にはインドとの関係が日米、日中関係をしのぐかもしれないと述べていた。

日印関係の進展は米主導の「中国封じ込め」の一環?=Pete Souza/The White House提供

両国の貿易総額は年間200億ドルと、日中間の3400億ドルをはるかに下回ってはいるものの、インドは日本の開発援助の最大の供与先であり、双方とも経済関係の強化に積極姿勢を示している。

安倍首相は今回のインド訪問でシン首相と会談し、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想や地下鉄ムンバイ・メトロといったプロジェクトへの支援や、救難飛行艇「US2」の輸出計画について話し合う。US2の輸出には中国が懸念を表明しているが、小野寺防衛相はインドでの記者会見で、「世界中に武器を輸出している中国」からの批判は筋違いとの見方を示し、「US2は兵器ではない」と強調した。

インド太平洋地域で日本の経済的、軍事的地位を立て直そうとする安倍政権に対し、中国は「歴史問題への態度を正せ」「戦争の過ちを反省せよ」と迫ってきた。安倍首相の靖国神社参拝も中国、韓国から強い反発を買い、中国外務省の報道官は首相が「中国との対話の扉を閉ざした」と非難した。

中国は日本とインドの関係強化を、米国が主導する「中国封じ込め」の一環ととらえている。オバマ米政権が提唱する「アジアへの軸足移動」は、中国の躍進を妨害するための手段だというのが、中国側の認識だ。

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