(CNN) 米フロリダ州は野生のワニの個体数回復に伴って住民の苦情が増えたことを受け、「ワニ対応官」増員のための人材募集広告を出した。条件は柔軟な対応ができて人の話を聞くのがうまく温厚なこと。経験は不問。
職務は住民の苦情対応が中心で、場合によってはワニをつかまえて移動させる役割も担う。そのための研修は受けられる。
州魚類野生生物保護委員会のワニ対応コーディネーター、リンジー・ホードさんによると、州内では「これまで何十年も出没しなかった場所にもワニが戻って来つつある」といい、それに伴って住民からの苦情も増加している。
野生のワニは大部分がエバーグレーズ国立公園に生息しているが、フロリダキーズやマイアミデード、ブロワード両郡の大西洋沿岸地域にも多数が生息。現在は9人の担当官が、住民からの通報に対応したり、ワニの存在に不安を感じる住民の啓発活動を行ったりしているという。
時給は車両費込みで25ドル(約2600円)で、ワニと格闘したいという動機で応募してくる人は不採用。2013年に寄せられた推定200件の苦情のうち、ワニを移動させたのは8件にとどまる。
同州ではワニは絶滅の恐れがある種に指定され、殺すことは禁じられている。体長約2.7メートル以上のワニがうろついているなど定められた条件を満たした場合のみ捕獲し、保護区などに移しているという。「当局の願いは人とワニが共生すること」「ワニを一方的に排除することが目的ではない」とホードさん。
同氏は22日も、ブロワード郡に引っ越してきたばかりという女性に応対した。この女性には幼い子どもと犬がいて、「今になってワニがいることに気づいて不安になった」という。