イルカ漁批判、日本側が反論

和歌山県太地町のイルカ漁に反捕鯨団体らが抗議の声を上げている

2014.01.21 Tue posted at 18:47 JST

東京(CNN) 和歌山県太地町で毎年行われているバンドウイルカの追い込み漁に対し、自然保護団体が実況映像を流すなど、外国からの非難が続いている。日本国内では行政サイドや市民が反論の声を上げている。

追い込み漁は、イルカの群れを入り江などに追い込んで捕獲する伝統漁法。太地町の入り江には数百頭のイルカが囲い込まれ、反捕鯨団体「シー・シェパード」が実況映像やツイッターで選別作業の様子などを伝えている。地元漁業協同組合の関係者が匿名でCNNに語ったところによると、国内外の水族館などに売られたり食用とされたりするイルカはこのうち100頭未満で、残りは海へ戻されるという。

シー・シェパードは、「イルカが手荒な扱いを受けて血まみれになっている」「4日前に追い込まれてから餌を与えられていない」などと報告。「傷などのために望ましくないと判定されたイルカは、カメラから現場が見えないようにした後殺されるだろう」と伝えた。シー・シェパードは過去に、イルカの血で赤く染まる海の映像なども公開している。

これに対して漁協の責任者は、イルカにできるだけ苦痛を感じさせないよう、時間をかけずに陸上で処分する方法を導入したと説明している。

シー・シェパードはイルカ漁反対を掲げて現地で活動=20日撮影、Sea Shepherd Conservation Society提供

追い込み漁を巡っては、米国のケネディ駐日大使も短文投稿サイト「ツイッター」で「非人道的」と批判し、懸念を表明した。一方、菅義偉官房長官は20日の記者会見で、「イルカ漁業は我が国の伝統的な漁業の一つで、法令に基づき適切に実施されている」と改めて主張した。

太地町の三軒一高町長も、地元の漁師たちは漁業権を行使しているだけだと延べ、絶滅の危機にある動物を捕獲しているわけではないと強調。「われわれは住民を批判から守る必要がある」との認識を示した。また、シー・シェパードは資金集めや宣伝のために追い込み漁を利用していると非難した。

ケネディ大使の発言に対しては、日本の政治家や市民からも疑問の声が上がっている。佐藤正久参院議員はツイッターで「追い込み漁は地元の伝統文化の側面もあり、駐日大使が意見する内容としてはどうかと思う」と投稿。別のユーザーは、動物の人道的な扱いを語るなら、原爆や枯葉剤、中東の市民の頭上に降るミサイルはどうなるのかとコメントした。

日本のイルカ漁に注目集まる

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