(CNN) 米上院情報特別委員会は15日、2012年9月にリビア東部ベンガジで起きた米領事館襲撃事件に関する報告書を発表した。報告書は領事館の警備体制などを批判し、襲撃は「回避できた可能性がある」と言及した。
事件では米大使ら4人が死亡。報告書は、情報機関から米国人や米国関連の施設が狙われているとの警告が出ていたと指摘。襲撃を示す具体的な警告はなかったものの、「警備態勢をもっと大幅に強化」すべきだったと国務省を批判した。
襲撃には、国際テロ組織アルカイダ系の複数の組織が関わっていたという。だが特定のグループの主導の下で行われたのかどうかまでは明らかになっていない。
一方で報告書は情報機関についても、状況分析が不十分だったと批判。過激派が関連する交流サイトを分析していれば、領事館に警告を出せた可能性があるとした。
事件直後に反イスラム映画に対する市民の抗議運動が領事館攻撃につながったとの情報が流れた点についても、情報機関の事実確認が不十分だったと言及。情報の訂正にも時間がかかり、政策決定者の発言に悪影響を及ぼしたと指摘した。
オバマ政権は当初、抗議運動が事件を引き起こしたとしていたが、その後、組織的なテロ攻撃だったと見解を変えた。
国務省のハーフ報道官は、事件を回避できたとの報告書の指摘について「これまでも述べてきた通り、(襲撃の可能性を示す)具体的な脅威は何もなかった」と述べた。
報告書ではまた、米連邦捜査局(FBI)から得た情報として、現地で事件の捜査に協力した15人が殺され、捜査に影響が出たと指摘。殺害と捜査の間に関連があったかどうかは不明としている。