(CNN) イランは核開発問題を巡り、昨年11月に成立した欧米との暫定合意を20日から履行する方針だ。米ホワイトハウスが12日に見通しを示し、イラン国営メディアが同国当局者らの話として確認した。
ケリー米国務長官は12日の声明で「イランの核開発計画はこの10年近くの間で初めて前進を止められ、一部後退することになる」と指摘し、「その間に包括合意へ向けた交渉を開始する」と述べた。
イランは昨年、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国にドイツを加えた6カ国との間で、経済制裁の一部緩和と引き換えに核開発活動を縮小することで暫定合意に達していた。
具体的には、イラン側が兵器への転用が可能な高濃縮ウランの保有量縮小と製造施設の一部解体、濃縮に使われる遠心分離機の新規導入停止、国際原子力機関(IAEA)の監視強化などに同意。
欧米側は見返りとして、イラン資産約42億ドル(約4400億円)の凍結解除を含む総額約70億ドル規模の制裁緩和に応じることが決まっていた。
欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表は12日の声明で、専門家らが3回にわたる会合で暫定合意履行の詳細を練り上げたと述べた。
国営イラン通信(IRNA)によると、イランのアラグチ外務次官は同日の記者会見で、20日から濃度20%の高濃縮ウランの製造を停止すると発表した。一方、米国のケリー長官は、イラン資産の凍結解除を20日以降、6カ月かけて定期的に実行すると述べた。
米議会では民主、共和両党の一部議員らが対イラン制裁の緩和に反対し、イランが合意に違反した場合などに備えて追加制裁の設定を主張している。
オバマ米大統領は12日の声明で「追加制裁は平和解決への努力を台無しにする恐れがある」と述べ、イランとの交渉中に新たな制裁を求める法案には拒否権を発動する構えを改めて示した。
イラン、核合意を実施へ