絶滅危機のクロサイ、狩猟許可証の競売が物議醸す

2014.01.12 Sun posted at 15:29 JST

テキサス州ダラス(CNN) 深刻な絶滅の危機に直面しているアフリカ南部ナミビアのクロサイを巡り、米国の狩猟団体が狩猟許可証の競売を企画して物議を醸している。

米テキサス州のダラス・サファリ・クラブ(DSC)は11日夜、ナミビア政府が発行したクロサイ1頭の狩猟許可証の競売を開催。落札価格は25万~100万ドル(約2600万~1億400万円)に上るとの見通しを示した。収益は全額、クロサイ保護活動の資金として同国政府に寄付すると説明している。

同団体のベン・カーター事務局長は「クロサイを守るための最良の方法」と話すが、動物保護団体などから「全体のために1頭を犠牲にしていいのか」「悪い冗談だ」といった非難が集中している。

クロサイは大きな角が剣の材料や装飾品、さらにアジアでは万病の薬として重用され、乱獲によって1980年代には世界の生息数が数十頭に減少した。その後の保護活動で約5000頭まで回復し、うち約1700頭がナミビアに生息している。

ナミビア政府は近年、年間3頭に限って繁殖年齢を超えたオスの狩猟を認め、許可証を発行してきた。許可証が国外で競売にかけられるケースは初めて。1人当たりの国民総生産(GNP)が6000ドルにも満たない同国にとって、保護活動の資金を確保する貴重な機会であることは確かだ。

DSCによれば、落札者による狩猟は同国政府が厳重に監視する。事前に指定された老齢のクロサイを狩ることは、若く元気なクロサイを守ることにもなると、DSCは強調する。

一方で反対派は「生きているクロサイよりも、テキサスの豪邸に戦利品として飾られる死骸に価値があるかのような認識を広めてしまう恐れがある」と警告。保護資金を集めるのが目的ならば、野生の生態を見せるエコツアーなど別の方法があると主張している。

絶滅危機のクロサイの狩猟許可証が競売に

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