学生を癒やすセラピー犬、米で導入する大学が増加

非営利団体アルファレッタの広報を務めるゴールデンレトリバー犬

2013.12.20 Fri posted at 12:40 JST

(CNN) 米国で最終試験を控えて猛勉強に励む学生のために、セラピー犬を取り入れる大学が増えている。犬や猫との触れ合いにはストレスを和らげる効果があり、いつも学生の順番待ちができる人気だという。

米ジョージア州アトランタにあるエモリー大学の図書館。試験勉強に集中する学生で全席が埋まり、中にはキーボードの上で居眠りをする姿も。どの学生も疲れ切って見える。

しかし別室のジョーンズルームに入ると空気は一変する。この部屋の主役の「ヘンリー」は、非営利団体(NPO)アルファレッタの広報を務めるゴールデンレトリバー犬。同団体は子どもや障害者のためにセラピー犬を派遣する活動を展開していて、ヘンリーも仲間の犬たちやボランティアの訓練士とともに、病院や学校を訪れている。

エモリー大学では6匹ほどが2時間交代で相手をしてくれる。学生は順番を待って、10分間の触れ合いができる。

セラピー犬を導入する大学は同大のほか、ルイジアナ大学、カリフォルニア大学バークリー校、コロンビア大学、マーケット大学など数十校に広がった。

マーケット大学のカウンセリング室は、予定を前もって告知して、屋外で学生が犬と触れ合う場を設けている。同大学にセラピー犬を派遣している団体は、犬だけでなく、セラピー猫を連れてくることもある。

同大の担当者は犬や猫と触れ合う効果について、「学生は肩の力が抜けて笑顔になる。生活の均衡を保ってもらうための素晴らしい方法だ。試験中の学生たちは学業のストレスで周りが見えにくくなってしまうことも珍しくない。猫や犬と5分も過ごせば頭がすっきりする」と話す。

犬たちは訓練を受けて90種類ほどの命令を覚え、セラピー犬と認定される

実際に、犬と触れ合うと、不安を和らげ血圧を下げる効果があるとされるホルモン、オキシトシンの濃度が高まるという研究結果もある。犬をなでたりペットの相手をしたりすると、不安が薄れて安心感が高まり、恐怖や不安から関心が遠のく効果があるという。

また、過度のストレスは記憶力の妨げになるという研究結果もあり、ひと時でもそうしたストレスを和らげることができれば、学習能力の向上も期待できる。

エモリー大学は、ほかの大学からの紹介で昨年からセラピー犬を導入したといい、「犬と触れ合うためにやってきた学生の数の多さに驚いた」と図書館司書は振り返る。

この日の担当は、まだ幼い大型犬の「ウェスリー」。女子学生3人になでられると目を閉じて、くつろいだ様子を見せる。学生は「まさにこれが必要だった」と目を細めた。

犬たちは訓練を受けて90種類ほどの命令を覚え、セラピー犬と認定される。掃除機やプリンターなどの音にも驚かず、階段はゆっくり歩くなどの訓練を受けているという。

10分間の制限時間終了を告げられた学生は、犬に向かって「どうもありがとう。最高の薬になったよ」と優しく声をかけていた。

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