香港(CNN) 中国で強制労働による再教育制度「労働教養(労教)」が廃止されたことに対し、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは17日までに、「うわべの変更にすぎない」とする報告書を発表した。
労教制度は1950年代、窃盗や売春、麻薬中毒などの容疑者を裁判なしで最長4年間拘束する制度として始まった。
アムネスティによると、政治的立場や宗教、信念などを理由に気功集団「法輪功」のメンバーや地方当局への陳情者を拘束し、再教育する目的で使われてきた。中国は国際社会からの批判を受けてこの制度を再検討し、先月15日に廃止を発表した。
これに対してアムネスティで中国の調査を担当するコリンナバーバラ・フランシス氏は「非難の声をかわすための名ばかりの変更にすぎないのでは」と懸念を示す。報告書は「中国当局はひとつの制度を廃止する代わりに、別の制度を拡大する恐れがある」と指摘する。
アムネスティは法輪功メンバーや陳情者らの話として、労教施設が閉鎖されても実態は変わらないと報告した。
ホテルや廃屋ビルに設けられた非公式の監禁施設「黒監獄」や「洗脳センター」などへ送られているという。
アムネスティによると、法輪功のある女性メンバーは今年6月、黒竜江省ハルビンの労教施設から解放されたが、門の前で洗脳センターの職員が待ち受けていた。この女性は家族の助けで逃れることができ、現在は潜伏生活を送っているという。
中国司法当局によると、労教施設は2012年末の時点で国内に351カ所設置され、5万人が拘束されていた。実際の拘束者はこれよりはるかに多いとの説もある。
経験者らがアムネスティに訴えたところによれば、施設内では電気棒や拷問台を使った虐待や絶食、水責め、正体不明の薬物注射などが横行していた。
フランシス氏は「中国当局はあらゆる形態の恣意的な拘束をただちに廃止するべきだ」と述べ、同国に根本的な方針転換を求めた。
労教制度廃止は「うわべだけ」 アムネスティが批判