(CNN) アフリカ東部ケニアの首都ナイロビの高級ショッピングモールで今年9月起きた襲撃事件で、米国の治安当局筋は15日までに、実行犯4~5人の武器調達や移動にかかった費用は総額で5000ドル(約51万5000円)以下とテロ攻撃としては割安な水準だったことを明らかにした。
2001年発生の米同時多発テロ後、米当局はテロ組織の資金源断絶を重視し、それなりの対応策を講じてきた。しかし、ナイロビの事件は工作資金が少額でも大きな被害が出るテロが可能なことを見せ付けており、この種の攻撃の増加に警戒を強めている。
同事件の犠牲者は67人で、負傷者は200人。襲撃の手口は比較的単純で費用のかからないものだった。凶器は手りゅう弾やAK47タイプの自動小銃だったが、いずれも東アフリカ地域では安価で入手可能な武器だった。
実行犯は隣国ソマリアに拠点があるアルカイダ系の過激派「シャバブ」との結びつきが指摘されている。
他の主要なテロ事件の実行費用を見た場合、アルカイダが米同時多発テロに要した資金は40万~50万ドルとされる。02年にインドネシアの国際リゾート地バリ島で発生した連続爆弾テロは推定で約5万ドル。
スペインの首都マドリードで04年、通勤列車を狙った爆弾テロの資金は1万~1万5000ドル。1年後にロンドンの地下鉄などを標的にしたテロの実行犯は約2000ドル使ったとされる。
ナイロビのテロ事件を調べた米連邦捜査局(FBI)の元捜査員は、多額の資金をかけないテロ攻撃は事前阻止が最も難しいと指摘。ナイロビの事件のような手口は極めて簡単で、費用も格段に安いと述べた。
テロ組織の資金源を遮断させる金融の対抗措置は近年築かれたが、攻撃に使われる可能性があるより少額の資金の探知は一層難しくなっている現状も認めた。シャバブの場合、勢力の衰退を受けソマリアの支配地域でかつて実施していた「税金」徴収が出来なくなっており、海外に居住するソマリア人支持者からの献金が主要な資金源とみている。