北朝鮮が強制収容所を拡大、最多20万人か アムネスティ

北朝鮮の強制収容所の衛星写真=アムネスティ・インターナショナルから

2013.12.05 Thu posted at 18:27 JST

(CNN) 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは5日までに、政治犯らを拘束する北朝鮮の強制収容所の最新の衛星写真を公開し、生活棟や生産施設などが拡大されているとの報告書を発表した。

アムネスティの依頼を受け米商業衛星企業デジタルグローブが撮影した関連画像を精査した結論で、おぞましい環境にある6つの政治犯収容所には子どもを含め最多で20万人が収容されていると推定した。

最大規模とされる第15号、16号の収容所では生活棟などの拡張が確認されたと指摘。アムネスティの東アジア地区担当者は北朝鮮当局による圧政が依然続く恐ろしい現実を示す証拠材料としている。

同団体の2011年報告書では、咸鏡北道・化成にある16号収容所の拘束者は推定2万。しかし、今年5月撮影の最新画像では生活棟の拡大と共に収容者数は若干増えている可能性があるとした。

北朝鮮の金正恩第1書記=労働新聞から

鉱業、林業や農業などの経済活動の進行が目立つとも報告。同収容所の敷地は広さ約560平方キロで、米の首都ワシントンの3倍に相当する。

15号収容所は北朝鮮中央部の川が流れる谷間に位置し、首都平壌からは約120キロ離れている。

11年の報告書では収容者数は約5万人とされたが、その後、39の生活区域が解体され、増設は6のみだった。収容者数の減少をうかがわせるが、林業を含む産業活動の活発化が確認されたという。

衛星画像によると、収容所の周囲にはフェンスが張りめぐらされ、警備地点の在り場所も明瞭にわかる。収容所への出入りは警備付きの入り口、監視塔や敷地内の保安検査場所などを通じ監視されている。

金日成主席と金正日総書記の像

アムネスティは今回の報告書で収容所に関係する新たな証言も紹介。16号収容所に1980年代から90年代半ばまで勤めていたという男性の元治安関連要員は先月、アムネスティとの聞き取り調査に応じ、収容者の処刑の実態の一端を明かした。

証言によると、ある収容者は自らの埋葬場所を掘ることを命じられた後、首をハンマーで殴られ殺害された。また、収容所の警備員が拘束者の首を絞め、木製の棒で殴打して殺した場面を目撃したとも説明。

複数の女性の収容者はレイプされた後、行方不明になったとも明かした。女性の殺害は、一晩中の暴行の事実の口外を防ぐための措置とし、この種の暴虐は政治犯収容所の大半で起きているという。

国連の北朝鮮人権調査委員会は今年9月、北朝鮮の収容所内でまん延する劣悪な人権侵害を報告、国際社会に対応を促していた。

北朝鮮、強制収容所を拡張か

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