子どもの安楽死、法案が上院委通過 ベルギー

ベルギーで子どもの患者と認知症の患者に安楽死の権利を認める法案の審議が進む

2013.11.28 Thu posted at 15:38 JST

ベルギー・ブリュッセル(CNN) 生後10カ月のエラルイーズちゃんは、小さな体でただ痛みに耐えていた。神経が破壊される難病、クラッベ病の末期。栄養補給をやめた体は「骨と皮だけだった」と母親のリンダ・ファンロイさんは振り返る。

エラルイーズちゃんはベルギーで2年前に亡くなった。苦痛緩和のための鎮静剤を投与されても苦しそうな表情は消えなかったとファンロイさんは言い、「娘は亡くなる前日まで苦しそうな顔をしていた。突然怒りがこみ上げてきた。その痛みを取り除ける薬が存在しないことは分かっていた」と話す。

薬剤を投与して、短かかった娘の命をもっと早く終わらせることができていたらという思いは、今でも消えないという。

ベルギーの上院委員会は27日、回復の見込みがない子どもの患者と認知症の患者にも安楽死の権利を認める法案について採決を行い、13対4の賛成多数で可決した。

法案は今後、上院本会議で審議される。成立するためには上下両院を通過する必要がある。

同国では2002年に制定された法律で、成人の自発的な安楽死を認めている。今回の改正案はこの対象を18歳未満の未成年にも拡大する内容で、未成年の安楽死について、身体的疾患のために耐えがたい身体的苦痛に苦しんでいて、回復の見込みがない場合にのみ請求できると規定した。精神的な苦しみによる安楽死も認められる成人とは区別している。

ファンロイさんは、いつ死ぬか決める権利も含めて、子どもや病気の子どもをもつ親にとっての選択肢を増やすべきだと訴える。

小児科医16人も今月、法改正を求める公開書簡を全国紙2紙に掲載した。

隣国オランダでは2002年に制定された法律に基づき、12歳以上の子どもも保護者の同意があれば安楽死を請求できる。ただ、同法の制定以来、安楽死を選んだ子どもは5人にすぎない。子どもの場合、自分の命を終わらせることについて論理的な判断ができないという批判もある。

難病と闘うイザベラさん(18)は安楽死について尋ねられ、「良くない」と答えた

子どもの終末期医療に携わってきた看護師は、早く死にたいと願う子どもには会ったことがないと話す。安楽死の選択肢を与えれば、家族が自分に望むことを察して心を決めてしまうかもしれず、ただでさえ自分が負担になっていると感じている子どもに多大なストレスを与えかねないと危惧する。

この看護師の患者の1人、イザベラさん(18)は、難病のハンチントン病のために、食べることも、助けなしに歩くこともできなくなった。話すことも難しくなる中で、母親と安楽死について話し合ったという。

母親が分かりやすく説明してくれた内容に耳を傾けたイザベラさんは、安楽死についての考えを尋ねられ、ようやく聞き取れるほどの声で、「良くない」と答えた。

難病の子どもや家族、安楽死と向き合う

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