紀元前6世紀の寺院跡発見、釈迦の生誕時期示す? ネパール

ネパール南部ルンビニの寺院で祈りをささげる僧侶=Ira Block/National Geographic提供

2013.11.26 Tue posted at 16:59 JST

(CNN) 仏教の開祖、釈迦(しゃか)の生誕地と伝えられるネパール南部ルンビニの発掘調査で、紀元前6世紀のものとみられる木造仏教寺院の痕跡が見つかった。考古学会誌アンティクイティに紹介され、英ダラム大学などの研究チームが25日に発表した。

釈迦の生涯については主に口頭の伝承で伝えられ、物的証拠はこれまでほとんど見つかっていなかった。今回の発見は、釈迦の誕生時期を初めて考古学的に示すものと期待されている。

発掘調査では、当時のアショカ王が紀元前3世紀に建造した寺院の下に、木製の柱が立てられていた痕跡を発見。大きさや形状は、紀元前3世紀の寺院とほぼ同じだった。柱の跡から見つかった木炭や砂を調べた結果、いずれも6世紀のものであることが判明した。一方、柱の穴ができたのは紀元前800~545年と推定される。

「柱の穴が木造寺院の存在を示すものだとすれば、釈迦が または直後から儀式が始められていた可能性がある」と研究チームは指摘する。

この遺構の中心部では石化した巨大な木の根の断片も発見され、この地に1本の木があったとみられることが分かった。これは釈迦の母が木の枝につかまって出産したという伝説と一致する。建物のこの部分だけは屋根に覆われていなかった。

ルンビニにはアショカ王が釈迦の生誕地を訪れたと記した紀元前3世紀の石柱がある=Ira Block/National Geographic提供

ダラム大学の研究者はこの発見について、「信仰と伝説、考古学、科学が一致する希少な事例」と評価している。

研究チームの説が正しければ、釈迦が紀元前563年に生まれ、483年に死去したという説とこの遺構の存在時期が重なることになる。ただ、釈迦が生きた年代を巡っては、448~368年とする説など諸説がある。ユネスコのウェブサイトには、623年に誕生と記されている。

ルンビニはインドとの国境に近い亜熱帯の森林や草原の中にあり、中国の記録によれば、15世紀までは巡礼者が訪れていた。なぜ巡礼者が途絶えたのかは分かっていない。その後1896年に発見されて、アショカ王が釈迦の生誕地を訪れたと記した紀元前3世紀の石柱があったことから、釈迦の生誕地と認定された。

釈迦はルンビニの庭園で裕福な両親のもとに生まれ、生誕時はゴータマ・シッダールタと呼ばれた。29歳で出家し、菩提樹(ぼうだいじゅ)の下で悟りを開いたと伝えられている。

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