(CNN) 昨年12月に米コネティカット州ニュータウンの小学校で起きた銃乱射事件で、州検察当局が25日に捜査報告書を公表し、犯行の動機については解明できないまま捜査を締めくくった。
この事件では当時20歳だったアダム・ランザ容疑者が、自宅で母親を殺害した後、小学校に侵入して1年生の児童20人と教員など6人を殺害し、警察が到着すると自ら命を絶った。
報告書では事件について、「自殺も含めて計画的な犯行だったことは証拠からも明らか。しかしなぜ犯行に及んだのか、なぜサンディフック小学校を狙ったのかについては、はっきりとした手がかりがない」と記している。
ランザ容疑者の精神状態については、「重度の精神衛生問題のために、普通の生活を営んだり、他者と交流したりする能力に支障をきたしていた」とする一方で、「同容疑者に面会した精神衛生の専門家の目には、犯行を予見させるような前兆はみられなかった」と報告した。
検視の結果、アルコールや薬物なども検出されなかったという。
ランザ容疑者が大量殺人や銃器に対して強い執着心を持っていたことも分かった。コンピューターからは、過去の大量殺人事件について詳細に記録した表や、銃を使った自殺ビデオ、自分の頭部に銃口を向けた写真、学校での銃乱射を描いた映画やゲームが見つかったという。
一方で、人気ゲーム「ダンス・ダンス・レボリューション」にも没頭し、自宅や劇場でダンスに興じていた。
自宅からは大量の銃も発見された。すべて母親(当時52)が購入したもので、2人とも地元の射撃場でピストルを撃っていたといい、ランザ容疑者は「大人しくて礼儀正しい」青年として通っていた。
母親は全面的に容疑者の面倒を見ていたといい、「もし自分の身に何かあったら息子はどうなるのだろうと案じていた」とされる。
ランザ容疑者は自室の窓を黒いビニールで覆い、母親を含めて誰も自室に入れようとしなかった。誕生日やクリスマスなどを毛嫌いし、母親がクリスマスツリーを飾ることも許さなかったといい、「母親は、息子には感情がないと説明していた」という。
犯行当日の朝、容疑者はベッドで寝ていた母親の頭部をライフル銃で数回にわたって撃ち、それから自分がかつて通っていたサンディフック小学校に向かった。
この時の容疑者は銃4丁と銃弾300発あまりを所持。半自動小銃を乱射した後、ピストルで自殺した。
今回の報告書とは別に、コネティカット州警察は事件に関する証拠資料の開示を予定しているが、日程は決まっていない。
この事件を受けて、コネティカットを含む複数の州が、銃規制強化を盛り込んだ法案を可決した。しかし連邦レベルでは野党共和党の反対に阻まれて、限定的な規制強化法案さえも成立していない。
小学校銃乱射で捜査報告書