フィリピン死者2300人超、救援物資届かず絶望感募る

生活必需品の不足が続く被災地

2013.11.14 Thu posted at 10:55 JST

フィリピン・セブ(CNN) 台風30号(ハイエン)で壊滅的な被害が出たフィリピンは、台風直撃から5日たった13日もインフラの破壊や治安の悪化に阻まれて被災地に救援物資が行き渡らず、事態は一層深刻化している。

教会に避難している被災者は、「私たちには家もなく、食べる物もない。今助けが必要だ」と涙ながらに訴えた。

フィリピン政府によると、14日朝までに確認された死者は2357人に上り、負傷者は3853人、行方不明者は74人となった。しかし依然として至る所で遺体ががれきの下敷きになったり、路上に放置されたままになっている状況だ。住宅は少なくとも8万棟が破壊され、家を失った人は58万2000人を超えている。

各国からの救援物資は航空機や船で続々と到着している。しかしその大半は空港に積み上げられたままの状態で、最も大きな被害が出ている地域にはほとんど届いていない様子だ。

被災地では特に女性と子どもにとって危険な状況になっているという

CNNの取材陣は13日、壊滅的な被害が出ているレイテ島のタクロバン南部で警察に止められ、引き返すよう指示された。食料を狙ったと思われる集団に民間人が銃撃されているという。

フィリピンの国家食糧管理当局は同日、レイテ州にある政府の倉庫に被災者が殺到し、壁が崩れて8人が死亡したと発表した。倉庫からはコメ10万袋あまりが持ち去られたという。

国連当局者によると、家を失った被災者の間では絶望感が広がって秩序が崩壊しつつあり、特に女性と子どもにとって危険な状況になっているという。

セブ島には13日、米海兵隊が到着し、オスプレイなどの輸送機を使って救援物資を届ける準備に着手。オーストラリア空軍や台湾軍、国境なき医師団なども同日までにセブ島入りした。

インフラの破壊や治安の悪化で被災地への救援物資が遅れている

タクロバンでは国連世界食糧計画や米国際開発庁が食糧援助に乗り出している。

しかしフィリピン政府によると、食料を必要としている被災者は200万人を超す。国連のバレリー・エイモス人道問題担当事務次長は13日、「現地入りはしている。だがあまりに遅すぎる」と述べ、救援活動が追いつかない現状に危機感を募らせた。

タクロバンで被災した男性は、自宅を吹き飛ばされ、妻と2人の子どもを失った。遺体は自宅のあった場所で袋をかぶせただけの状態だ。「誰か遺体を回収して、どこへ行ったか分かるようにしてほしい」と男性は訴えた。

現地で救援活動を行う米軍当局者に聞く

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