フィリピン中部タクロバン(CNN) フィリピン中部を直撃した台風30号(ハイエン)は11日未明、ベトナムに上陸した。アキノ・フィリピン大統領は10日、最大の被災地とされる同国レイテ島の港湾都市タクロバンを視察した。台風はフィリピンを通過後、ベトナムに上陸した。
国際赤十字の報道担当者はフィリピンでの被害について、西部の島の被害状況などがまったく把握できていないと指摘。全国で計1万人近くが死亡したとの推定も現実味を帯びていると述べた。
すでに多数の犠牲者が報告されているタクロバンでは、当局による対応の遅れを非難する声が高まっている。これに対してアキノ大統領は、「現場に駆けつけるはずの職員の多くが被害を受け、出勤できなかった」と説明した。
被災地では停電が続き、食料や水が不足している。道路には遺体が散乱し、病院は患者であふれ、医薬品も底をつきかけている。
一部地域では電力の復旧に数カ月かかることが予想される。国連世界食糧計画(WFP)は被災地12万人分の食料を用意して輸送経路を確保する計画を示し、国際社会からの資金援助を呼び掛けた。
台風30号の勢力は、2005年に米南東部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の3.5倍に相当する。フィリピンでは特に高潮が甚大な被害をもたらした。
台風30号は現地時間午前4時ごろ、ベトナム北東部に上陸。最大風速約42メートルとやや勢力を弱めたものの、首都ハノイなどで豪雨となる見通し。
中国国境付近で11日夜までに200~300ミリの雨が予想され、赤十字によると高齢者ら約10万人が避難した。
台風が残した傷跡 フィリピン