トランス脂肪酸の安全性否定 食品への使用禁止も 米当局

2013.11.08 Fri posted at 11:49 JST

(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は7日、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸の成分は「一般的に安全とはみなされなくなった」との仮判断を示した。これが公式見解になれば、加工食品への使用は禁止される。

FDAは暫定的な結論として、トランス脂肪酸の主成分である「部分水素化油脂」は安全ではないという認識が一般的になったと判断。パブリックコメント期間を設けて食品業界などの意見を募ったうえで最終結論を出すとした。

期間中に寄せられた意見や情報を検討した上で、これが公式見解となった場合、部分水素化油脂は、食品への利用を原則禁止する添加物に分類される。

FDAのハンバーグ局長は今回の措置について、「トランス脂肪酸の潜在的危険からより多くの米国人を守るための重要な1歩」と位置付ける。FDA当局者も「健康への影響を考えると、できるだけ迅速に対応したい」と表明した。

冷凍ピザやマーガリン、コーヒー用クリームなどに含まれるトランス脂肪酸は、心疾患のリスク増大との関連が指摘されている。主成分の部分水素化油脂は、マーガリンやショートニングなどの固形油脂を製造するために液状の油脂に水素を添加して人工的につくられる。

なお、一部の食肉や乳製品に天然に含まれるトランス脂肪酸は今回の規制対象には含まれない。

米国では加工食品からトランス脂肪酸を締め出す動きが進んでおり、例えばファストフード大手マクドナルドのウェブサイトには、揚げ油にトランス脂肪酸は使われていないと明記している。

米食品業界団体によると、メーカー各社の自主的な取り組みで、食品に使われるトランス脂肪酸は2005年以来、73%以上減ったという。

FDAによると、米国の消費者が1日に摂取するトランス脂肪酸の量は、2003年の4.6グラムから、2012年には約1グラムに減った。しかし「現在の摂取量であっても、健康上の重大な不安が残る」(ハンバーグFDA局長)。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させることが分かっており、摂取しても安全という基準は存在しないと同局長は強調した。

米心臓協会や医学界などもFDAの方針を歓迎し、「トランス脂肪酸を含む食品を食べると心疾患のリスク要因である悪玉コレステロールが増えることは、科学的に実証されている」とコメントしている。

世界保健機関(WHO)も世界で供給される食品からトランス脂肪酸をなくすよう呼びかけている。過去20年でトランス脂肪酸の規制に乗り出した米国やブラジル、デンマーク、韓国などの各国では、効果が実証されているという。

米疾病対策センターの試算によると、人工的に精製されたトランス脂肪酸を含む食品を避ければ、年間1万~2万人の心臓発作が予防でき、冠動脈性心疾患による死者は3000~7000人減少する。

米当局、トランス脂肪酸の食品への使用禁止

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