昨年のテロ件数、犠牲者数と共に過去最多 米報告書

2013.11.02 Sat posted at 16:40 JST

(CNN) 米国のテロ問題研究団体は2日までに、世界各地で昨年発生したテロ事件は8500件以上で、死亡者は約1万5500人とする最新報告書をまとめた。

件数、犠牲者とも過去最高で、2011年と比べそれぞれ69%、89%の増加。件数のこれまでの最高は2011年の5000件以上、犠牲者数は07年の1万2800人以上だった。

報告書は、米メリーランド大学に本部がある組織「National Consortium for the Study of Terrorism and Responses to Terrorism」(START)が作成した。最終報告書の発表は今年12月だが、CNNが暫定版を入手した。

同組織による統計集計は1970年にさかのぼる。報告書作成では、世界のメディア企業5万社・機関などが毎月掲載した120万本の記事を基礎材料としている。テロ行為との認定基準は米国務省などの規定とほぼ合致し、政治、経済、宗教や社会各分野での目的達成を図る意図的行為や威嚇、非戦闘員を標的にした国際人道法の違反行為を含む。

STARTの責任者によると、今年上半期でのテロ発生件数は5100件で、通年で昨年を上回る増加率となっている。04、09両年を除き、過去10年間で増加基調が続き、退潮の兆しはない。

「アイルランド共和軍」(IRA)やイタリアの「赤い旅団」など過去の過激派は無関係な民間人の犠牲者を減らすため行動に踏み切る前、警告を発していたが、現在のテロ組織にこの種の配慮はもはや見られないと指摘。犠牲者が増えれば増えるほど成功と判断していると説明した。

昨年発生したテロ事件の58%では爆弾と爆発物が用いられていた。事件は計85カ国で起きたが、パキスタン、イラクとアフガニスタン3カ国だけで件数の55%、犠牲者の62%を占めた。

最も過激な7つのテロ組織のうち、6つはアルカイダ系とし、大半のテロ行為はイスラム教徒が多数派の国で起きたとしている。

発生件数や巻き込んだ犠牲者数を組織別に見た場合、最多はアフガニスタンのイスラム武装勢力タリバーンの525件、1842人。ナイジェリアの過激派ボコ・ハラムが364人、死者1132人で次いだ。この他、イラクの「イラク・イスラム国」、インド共産党毛沢東主義派、ソマリアの「シャバブ」、アラビア半島のアルカイダ」に「パキスタン・タリバーン運動」などが続いた。

テロ問題の専門家は事件件数の増加について複雑な背景要因が絡んでいると指摘。弱体化して不安定な国家、汚職にまみれ機能しない政府、貧困と若年層に目立つ高失業率、殺傷能力が高い武器入手が容易な現状、自爆攻撃の多用、イスラム教スンニ、シーア両派間の抗争拡大や戦争でのテロ手段の増加などに言及している。

テロ件数、犠牲者数と共に過去最多

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