南アフリカ・ケープタウン(CNN) 今世界は、各地域の独立した地ビール醸造所ブームに沸いているが、最近、南アフリカでも地ビールビジネスが盛り上がりを見せており、小規模の地ビール醸造所が増えつつある。
ケープタウンでも最近いくつかの地ビール醸造所が誕生しており、デビルズピーク・ブルーイング・カンパニーはそのうちの1社だ。同社の共同創業者ダン・バーデンホースト氏は「(地ビールに対する)需要は巨大だ」と語る。
強力なビール文化を持つ南アフリカでは、従来、消費者は大量生産されたビールを選んできた。現在、世界第2位の醸造会社SABミラーの子会社、サウス・アフリカン・ブルワリーが同国のビール市場で9割以上のシェアを握っているが、小規模の醸造所も徐々に頭角を現し始めている。
1980年代はじめに南アフリカ初の地ビール醸造所として、ケープタウンを拠点とするミッチェルズ・ブルワリーが開業してから約30年が経過した今、地ビール醸造所の数は全国で50以上と推定され、その数はここ2、3年で倍増している。
「大手ビール会社が地ビールを支援している。それによりビール市場全体の拡大につながるからだ」と語るのは、国内外の地ビールを販売するオンラインストア、リーグ・オブ・ビアーズの創業者ロブ・ヘインズ氏だ。
しかしヘインズ氏は、大手ビール会社が地ビール市場に本格参入するのはまだ当分先の話だと語る。
南アフリカで急成長する地ビール業者は、消費者の心をつかむため、さまざまな工夫を凝らしている。例えば、地ビール醸造所は独特な味わいを出すために地元の原料を使用することが多い。デビルズピーク・ブルーイングのJCステイン氏は「地ビール業界では、地域に密着することが極めて重要」と語る。
また地ビールメーカーは、自社製品をより多くの人に味わってもらい、ブランドの認知度を高める場として、ビール祭りや試飲会を利用し始めている。
ウエスタン・ケープ州でレストランを経営するグレッグ・ケーシー氏も自分の店で毎年数回、ビールのイベントを開催している。
ケーシー氏は「(地ビールの楽しみは)ガブガブ飲むことではない」とし、「ワインのようにじっくり味わったり、他と違う特別なビールを試すのが地ビールの醍醐味だ」と語る。
「ビールをどれだけ沢山飲めるか、費用がいくらかかるかは問題ではない。地ビールで大事なのは量より質だ。人々が地ビールを買い求める理由はそこにある」(ケーシー氏)
南アで盛り上がる地ビールビジネス