粗末な家、未舗装の道――「金髪の天使」の村を訪ねて ブルガリア

CNN取材班がブルガリアのロマ族の村を訪ねた

2013.10.27 Sun posted at 13:12 JST

ブルガリア・ニコラエボ(CNN) ギリシャ中部にある少数民族ロマの集落で保護された少女の実の両親は、ブルガリアに住むロマの夫婦だったことが判明した。CNN取材班は25日、この夫婦が暮らす村を訪ねた。

村には粗末な造りの家が並び、未舗装の道に水たまりが残る。近くの住民によると、少女の両親は森で採った薬草を売ったり、金属のくずを集めたりして生計を立てているという。

育児手当を受け取っているが、その額は決して多くない。ほかの村人と同様、雨が降れば浸水するようなひと部屋だけの古い家に、家族全員が暮らす。

取材班が訪れたのは、夫婦と少女の親子関係を示すDNA鑑定結果が確認される直前だった。夫婦はこの日、テレビのインタビューに応じるため、村から3時間ほど離れた首都ソフィアへ行っていた。

少女の兄(13)と姉(14)が留守番をしていた。学校から帰ったばかりだという兄は、両親が出かけたのは知らなかったと話した。

村では今でも馬車が主要な輸送手段だ

取材班は隣村に住む一番上の姉、カチアさん(20)にも会った。カチアさんは少女と同じように肌がとても白く、赤味がかった金髪だ。

「母は2009年にオレンジ収獲の出稼ぎにギリシャへ行った。ギリシャ滞在中に出産したが、赤ちゃんを連れ帰って育てるお金がなかったので置いてきた。帰国してから手続きしようとしていた」と語った。カチアさんは「母はあの子が帰ってきて一緒に暮らすことを望んでいる。とても心配して泣き暮らしている」と話す。

しかし母親の望みが実現する見通しは立たない。ブルガリアの警察は25日、夫婦が金を受け取って不法に少女を養子に出した疑いがあるとして、捜査を開始した。

ギリシャの捜査当局は、ブルガリアの妊婦が出産間近になって同国を訪れ、生まれた赤ちゃんをギリシャ人夫婦に売り渡す事件が続発していると指摘する。

夫婦の留守宅には25日、ブルガリアの児童養護当局者が養育環境の調査に訪れ、少女の兄と姉を保護しようとした。親族の女性が引きとめようと泣き叫ぶ。その声で近所の住民が駆けつけ、2人を連れて夜の闇に消えて行った。

「金髪の天使」 少女の村を訪ねて

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