世界有数「星空保護区」、ナミブ砂漠

ジョンストン氏は「360度、地平線のパノラマが見えるこの場所は、天体観測に最適だ」と述べる

2013.10.26 Sat posted at 09:00 JST

ナミビア・ナミブ砂漠(CNN) 総面積約8万800平方キロを誇るナミブ砂漠は、少なくとも5500万年前から太陽が照り付け、世界最古の砂漠と言われる。この過酷な環境で、天文学者のロブ・ジョンストン氏は、空き時間に天体観測を続けている。

日没が近づくと、ジョンストン氏は車で砂漠の真ん中にある放棄された滑走路に向かい、そこで日没と同時に複雑な望遠鏡を組み立てる。

ジョンストン氏は「360度、地平線のパノラマが見えるこの場所は、天体観測に最適だ」と述べ、さらに次のように続けた。

「ここには遮るものが何もない完全な夜空がある。文字通り光害が一切ない、完全な暗闇だ。これこそまさに我々が求めているものであり、ここが極めて特別な場所であるゆえんだ」

国際ダークスカイ協会は昨年、この地域を国際的な「星空保護区」に指定した。それは、ナミブ砂漠の夜空が地球上で測定された最も暗い夜空の1つであることを意味する。ナミブ砂漠はアフリカ初の星空保護区であり、保護区は世界に他に4カ所しか存在しない。

ナミブ砂漠はアフリカ初の星空保護区であり、保護区は世界に他に4カ所しか存在しない

ジョンストン氏は、1986年にハレー彗星を見たのがきっかけで天文学の道に入った。現在、同氏はナミビアを回りながら、天体観測や天文学の教育を行っている。

夜空はナミビアにとって最も重要な「観光名所」の1つだが、開発が進むにつれ、光害の脅威にさらされている。この地域が明るくなりすぎると、天体観測の機会が失われるだけでなく、生態系にも悪影響が及ぶ。夜間の光は動物たちの睡眠パターンを乱し、摂食行動や配偶行動に変化をもたらす恐れがある。

そこで、ナミブ砂漠環境教育トラスト(NaDEET)の環境教育者、アブサロム・ビルホ氏は、生徒たちに光害の減らし方について講義したり、ナミビア人に美しい夜空を維持するための持続可能な生活スタイルを指導したりしている。

ジョンストン氏も、資金繰りや常に最新の観測機器をそろえなければならないなどの課題はあるが、今後も天体観測の理想的な場所であるナミビアをより多くの人に知ってもらうための取り組みを続けたいとしている。

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