(CNN) ローマ法王庁(バチカン)は23日、ぜいたくな生活で信者らの批判を浴びていたドイツのフランツペーター・テバルツファンエルスト司教に対し司教の資格の停止処分を科した。
同司教は、ドイツ西部リンブルクにある住居の改修に4200万ドル(約41億円)を投じた問題で調査の対象となっている。バチカンはこの調査が進む間、司教としての活動を認めず、司教区から離れるよう命じた。
神学的には保守派とされるテバルツファンエルスト司教は疑惑を持たれるような行為を全面否定。住居の改修費用が膨らんだことについては旧市街の壁などを含む周辺の構造物保護に迫られたことが原因と主張している。
ただ、リンブルク市の多くの住民などは同司教の退任を望み、「住居をうそを付いて建てた」などと反発している。
ドイツの一部のメディアもテバルツファンエルスト司教には厳しい姿勢を取っており、週刊誌シュピーゲルは貧困層を訪ねるインドへの旅行で飛行機のファーストクラスを利用したと非難。
これに対し同司教は、シャンパンやキャビアの愛好者ではないと反論している。司教は最近、バチカンを訪れているが、格安航空を使ったとされる。
CNN系列局RTLによると、ローマ法王の伝記作家は同司教の今回の処分について「実際は処罰に等しい」と指摘。ただ、テバルツファンエルスト司教の最終的な処遇の在り方は住居問題などを調べている調査委員会の結果に大きくかかっていると述べた。
法王フランシスコは貧者らを考えて質素な生活を信条にしており、聖職者らにも華美な生活の抑制を訴えている。今年3月に就任した法王は、専用の宮殿内のアパートに移らず、バチカン内のホテルのありきたりの部屋での居住を求めていた。出身地のアルゼンチンでは貧困撲滅に努力したことでも知られる。