タイタニック号のバイオリン高値落札、沈没寸前まで演奏続け

タイタニック号

2013.10.20 Sun posted at 16:22 JST

ロンドン(CNN) 英国の競売商「ヘンリー・オルドリッジ・アンド・サン」は19日、1912年4月に大西洋で沈没、多数の犠牲者が出た英豪華客船タイタニック号で沈没間際まで演奏を続けた楽団長のバイオリンが競売に出品され、170万米ドル(約1億6660万円)以上で落札されたと発表した。

当初の予想を大幅に上回る落札額。出品者や競り落とした人物名は明らかにされていない。タイタニック号関連の遺物や付属品の収集家によると、170万ドル以上の価格は同号の遺品や付属品に絡む価格では突出した最高額となった。

バイオリンは楽団長だったウォレス・ハートリー氏の所有品。タイタニック号の生存者によると、同氏の楽団は船が沈みつつある中、乗客を落ち着かせるために演奏を続けたという。流れた曲は賛美歌の「主よ御許(みもと)に近づかん」だった。

この場面は、世界的なヒット作となったジェームズ・キャメロン監督の映画「タイタニック」でも再現されている。

タイタニック号

ハートリー氏の遺体はバイオリンのケースが背中に結びつけられていた姿で、タイタニック号が沈没した数日後に収容されたという。楽団員の生存者はいなかったことがわかっている。

このバイオリンは2006年、英国の民家の屋根裏部屋で壊れた状態で改めて発見されていた。ヘンリー・オルドリッジ・アンド・サン社の声明によると、塩水検査などでバイオリンはハートリー氏のものと断定された。同氏の婚約者マリア・ロビンソンが婚約記念として贈ったことを示す字句が刻まれた銀色のプレートがバイオリンにつけられてもいた。

タイタニック号絡みの遺物は1985年、カナダ東部ノバスコシア州ハリファックスの海岸で初めて発見されていた。これ以降、遺品の調査や回収作業が多数実施され、発見された物が一部売却されていた。

遺物などへの関心は映画「タイタニック」の大ヒットを受けてかつてなく高まり、展示会が成功して数百万ドル単位の収益を上げたり、競売品が高値で落札されたりもした。競売商ガーンジーは04年、タイタニック号の生存者の家族らが受け継いできた遺品や記念品の競売を実施し、料理メニューが約10万ドルで売られてもいた。

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