(CNN) アフリカ東部ソマリア沖で2009年、米貨物船マースク・アラバマ号が海賊に襲撃された事件に基づく映画「キャプテン・フィリップス」が11日、全米で公開される。人質となったリチャード・フィリップス船長の役を米大物俳優トム・ハンクスが演じる。
ハンクスは主演としての心構えについて、「船長の姿を正確に表現することに集中した」「事実に反した心情を描いてフィリップス氏の人生を台無しにしたくはない」と述べた。ただし実話の映画化に虚構が混じることは避けられないと、ハンクスは言う。フィリップス氏本人と対面した時には「私はあなたが言わなかった言葉を言い、行かなかった場所へ行くことになると思うが、真実であることを目指したい」と話したという。
事件ではアラバマ号がソマリア沖で武装した海賊4人に襲われた。犯行グループはフィリップス船長を人質に取って救命ボートで逃走。5日後に米海軍特殊部隊シールズがボートを急襲し、海賊3人を殺害、1人を拘束した。
フィリップ氏は事件後、乗組員を救うために自ら人質となった英雄としてたたえられた。同作品の予告編でも、ハンクス演じるフィリップス船長が海賊に「だれかを撃つなら私を撃て」と迫る。
一方で当時の乗組員は、フィリップス氏が燃料費節減のため、警備会社からの再三の警告を無視してソマリア近海の航路を選んだことが事件発生を招いたとして、船を運航していたデンマークの海運会社を訴えた。今年12月には事実審理が始まる。
同氏自身もCNNとのインタビューや法廷での供述で事前警告を無視したことを認め、「警告に従ってソマリア沿岸から距離を取ったとしても、安全は保証されないと考えた」と説明した。
フィリップス氏は事件を振り返った著書も出しているが、英雄はメディアがつくりあげた虚像だと主張。「本当の英雄はシールズと、冷静に任務を果たした乗組員たちだ」と強調している。
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