イスラエル訪問前に知っておくべき10のこと

「嘆きの壁」

2013.10.12 Sat posted at 09:00 JST

(CNN) 聖地への旅は感動と魅惑にあふれる。今回はイスラエル、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区を訪問する前に知っておくべき10の事柄を紹介する。

1.イスラエルを取り囲む3つの海

イスラエルは紅海、地中海、死海の3つの「海」に囲まれている。紅海に面したリゾート地、エイラトではダイビングなどが楽しめる。地中海沿岸の町ロシュハニクラの崖は絶景で知られる。

アラビア半島北西部に位置する塩湖、死海の南西岸に位置するエン・ボケック周辺では、高濃度の塩水が体を支えてくれるため、水の中で簡単に浮くことができる。

2.複雑に入り組んだ身分

イスラエル人(政治的身分)の大半はユダヤ人(宗教的身分)だ。イスラエルでは、ヨーロッパ系ユダヤ人、アフリカ系ユダヤ人、アメリカ系ユダヤ人、アラブ系ユダヤ人など、さまざまなユダヤ人が混在しているが、大半のイスラエル人は、自国の民族の多様性に誇りを持っている。

それには理由がある。イスラエルでは、出生、家系、改宗に関する複雑な規則に従って自分がユダヤ人であることを証明できれば、直ちに市民権が与えられ、国から支給されるさまざまな給付を受けられる。

一方、パレスチナ人(政治的身分)の大半はアラブ人(文化的身分)で、その大半がイスラム教徒だが、キリスト教徒など他の宗教の信者も相当数存在する。

3.分離壁は一見の価値あり

東エルサレムの徒歩ツアーに参加すると、イスラエルの悪名高い「分離壁」に遭遇する。分離壁は、パレスチナ人がヨルダン川西岸とイスラエルの間を自由に行き来できないようにする目的で建設された高さ8メートルのコンクリートの壁だ。イスラエル人たちは、この壁が自爆テロ犯のイスラエルへの侵入を防いでいると考えている。

しかし、壁の大半はヨルダン川西岸地区内に建設されているため、国際司法裁判所は2004年に、この壁の建設は国際法違反であるとの判決を下した。

4.南部に広がるネゲヴ砂漠

イスラエル南部には、広大なネゲヴ砂漠が広がる。この砂漠のエコツアーにはラクダやテントは含まれているが、砂漠の先住民と交流できるツアーはほとんどない。

5.宗教上重要な建造物が集中するエルサレム旧市街

エルサレムの中心に位置する旧市街は、1538年にオスマン帝国のスレイマン1世によって建造された市壁に囲まれている。この約1キロ平方メートルの小さな区画には、イエスが十字架を背負って歩いたとされるヴィア・ドロローサ(苦難の道)や、エルサレム神殿の外壁のうち最後の一部である「嘆きの壁」、イスラム教の聖典「コーラン」に出てくるアル=アクサー・モスクやモスクに隣接する岩のドームなど、宗教上重要な遺跡が数多く存在する。

6.エルサレム症候群

エルサレム症候群とは、エルサレムの強烈な雰囲気により生じる精神状態で、毎年、約100人の旅行者がこの状態に陥る。

典型的な症状としては、興奮状態や宗教的熱情が長時間続き、白衣(ホテルのベッドシーツなど)に身を包み、宗教的な詩を朗読したり、道徳的な純粋さについて説教したりする。

幸い、大半の人は回復する。

7.エルサレムとは対照的なテル・アビブ

テル・アビブは西側地中海に面し、エルサレムからわずか1時間ほどの距離だが、雰囲気はエルサレムとは対照的だ。

ユダヤ教の安息日である金曜日の日没から土曜日の日没までの間、エルサレムの人々は静かに祈りを捧げたり、瞑想にふけるのに対し、テル・アビブの人々は海辺の遊歩道を散策したり、店やバーに繰り出す。

またテル・アビブは、LGBT(性的少数者)の訪問や居住を歓迎しており、「同性愛者に優しい街」としても知られる。

8.自然や文化を堪能できる遊歩道

ヨルダン川西岸は遊歩道が豊富で、その多くは「自然」がテーマだが、中にはビルゼイトのスーフィー・トレイルのように文化を堪能できる道もある。

中でもおすすめはナブルス、ベツレヘム、ヘブロンの3都市の間を2週間かけて歩くアブラハム・パスだ。道中、ホームステイ先やゲストハウスが沢山あるので、1日に歩く距離を短くして、じっくり散策することも可能だ。

9.イスラエルの訪問はパレスチナの訪問でもある

主権国家としてのイスラエルが誕生したのは1948年のことだ。イスラエルはまず、アラブの近隣諸国との最初の戦争の後、エルサレム西部を併合した。

1948年の建国当時、旧市街を含むエルサレム東部、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原はまだイスラエルの領土ではなかったが、1967年の第3次中東戦争(六日間戦争)中にこれら4カ所を支配下に収め、以後イスラエルの支配が続いている。

しかし国際社会では、イスラエルによる東エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区の占拠は不法占拠と考えられている。

これらの地域は、パレスチナ人の文化やアラビア語が最も浸透しており、仮にイスラエルの隣にパレスチナ国家が誕生すれば、ヨルダン川西岸やガザ地区がその国家の中心となる可能性が高い。

10.一見取っ付きにくいが、心は暖かいイスラエル人

生粋のイスラエル人は自らを「サブラ」と呼ぶ。サブラとは、固い皮に包まれているが中身は甘いサボテンの果実だ。

言い得て妙だ。イスラエル人は社交礼儀をさほど重視せず、店やレストランの対応がぶっきらぼうなこともあるが、とげだらけの皮をむくと、中には暖かさや優しさが詰まっている。

寄稿者であるアンソニー・ボーデインは世界的人気を誇るシェフで、ベストセラー作家。同氏がホストを務める番組「アンソニー・ボーデイン世界紀行(Parts Unknown)」は今年度のエミー賞で2部門を受賞した。同番組は、CNNjで毎週金曜午後11時、日曜午前10時に放送中。シーズン2では、コペンハーゲン、シチリア、南アフリカの他、東京(10月25日放送)も訪れる。

聖地イスラエルの旅

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