ネット依存症の入院治療施設、米国で初めて開設

オンラインゲームなどからインターネット依存症になるという

2013.09.13 Fri posted at 09:00 JST

(CNN) ライアン・ファンクリーブさんは米首都ワシントンを流れる真冬のポトマック川を見下ろしながら、自分の人生を振り返っていた。2007年の大みそか。大学教授の職を失い、川に身を投げる寸前までファンクリーブさんを追い込んだのは、インターネット依存症だった。

作家として成功を収め、大学教授という名誉ある職につき、結婚して2人の子どもももうけた。しかしオンラインゲームにはまって週80時間も没頭する状態に。実在の友人を避け、妻のことも無視するようになって、大学は解雇された。

ファンクリーブさんのような人のために、米国初のインターネット依存症の入院治療施設がこのほど米ペンシルベニア州の病院内に開設された。

同施設は1994年からネット依存症について研究している聖ボナベントゥラ大学のキンバリー・ヤング教授が中心となって開設した。1度に4人までの患者を受け入れ、全員が同じ日に入院して同じ日に退院。10日間の入院生活はまず、72時間の「デジタルデトックス」に始まり、続いて精神鑑定などが行われる。

ヤング氏によると、ネット依存症の患者には重度の薬物依存症の患者と同様の禁断症状が表れると予想され、患者によっては「解毒」のために投薬が必要になりそうだという。

米精神医学会はネット依存症を精神疾患とはみなしていないため、治療費の1万4000ドル(約140万円)は全額自己負担となる。

精神医学会の診断基準作成にかかわるデューク大学のアレン・フランシス名誉教授は、ネット依存症に苦しむ人がいることは確かだとしながらも、まだ十分な研究がなされていないとの立場だ。

ただ、ファンクリーブさんのように、集中療法を受けることなく依存症から脱却できるのはごく一部にすぎない。ヤング教授は「ここは人々が助けを求めに来る場だ。ネット依存症について周りの人たちが軽々しく受け止める状況を食い止められればと思っている」と語った。

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