シリア軍事介入、米議会で審議開始

ケリー米国務長官が米上院外交委員会の公聴会に出席

2013.09.04 Wed posted at 11:13 JST

(CNN) シリアへの軍事介入を巡り、ケリー米国務長官は3日、米上院外交委員会の公聴会で、アサド政権が化学兵器を使用した証拠はすでに何度も確認済みだと強調した。

公聴会にはケリー長官とヘーゲル国防長官、デンプシー統合参謀本部議長が出席。ケリー長官は、シリアの首都ダマスカス近郊で先月21日に化学兵器が使われ、それがアサド政権の仕業だったことは否定しがたい事実だと改めて主張した。

米国は2003年、イラクが大量破壊兵器を隠し持っているとの情報を根拠に同国への武力行使に踏み切ったが、これは誤情報だったことが後日判明した。ケリー長官は冒頭からこの経緯に言及し、「今回は誤った情報に基づいて議会に採決を迫ることのないよう、証拠を慎重に確認してきた」と述べた。ケリー、ヘーゲル両長官は03年当時、上院議員として対イラク開戦に賛成票を投じていた。

ケリー長官はまた、オバマ大統領が主張しているのは米国が戦争を始めることではなく、アサド政権が持つ化学兵器使用の能力を抑え込むことだと説明。米国がここで行動を取らなければ、政権側による国民への攻撃は一層激しさを増すだろうと述べた。

シリアのジャファリ国連大使

同長官はさらに、シリア内戦に関連して米軍の地上部隊を投入する予定はないと強調した。その一方で、議会で採決する決議案に地上部隊派遣を否定する文言を盛り込むべきではないと主張。シリアが崩壊した場合や化学兵器が過激派の手に渡りそうになった場合、地上軍を送り込むこともあり得るとの立場を示した。

ヘーゲル長官は、武力行使の時期と対象はともに「限定的」にとどまると説明した。

公聴会を傍聴していた反戦団体のメンバーが「米国民はこれを望んでいない」と叫び、警官に連れ出される場面もあった。

米議会では休会明けの9日以降、対シリア軍事介入をめぐる採決が実施される見通し。上院では民主党のリード院内総務らが決議採択に自信を示しているが、下院では反対意見も強く、議論の難航が予想される。

一方、シリアのジャファリ国連大使はCNNの番組「アマンプール」で単独インタビューに応じ、アサド政権が化学兵器を使用したとの説は根拠のないうそだと主張。「事態がエスカレートすればシリア国民全体が犠牲者となる」「われわれが望んでいるのは戦争ではなく、国連憲章に基づく平和的な紛争解決だ」と訴えた。

公聴会の様子を聞く

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