軍事介入は「中東地域の戦争招く」 シリア大統領が警告

シリアのアサド大統領は軍事介入が「中東地域の戦争招く」と警告

2013.09.03 Tue posted at 11:53 JST

(CNN) オバマ米政権が対シリア軍事介入の構えを示していることに対し、アサド・シリア大統領は2日、同国が攻撃を受ければ中東地域の戦争を招く恐れがあると警告した。

アサド大統領は仏紙フィガロとのインタビューで「中東という火薬庫に火が近づいている」と述べ、シリアが攻撃を受けた場合は「火薬庫が爆発して事態が制御不能となり、混乱と過激思想が広がるだろう」と主張した。

米国はアサド政権が8月21日、首都ダマスカス近郊で化学兵器により住民ら1400人以上を殺害したとの見解を根拠に、軍事介入へ向けた検討を進めている。オバマ大統領は先週、武力行使に踏み切る前に議会の承認を得ると表明。議会での採決は休会明けの9日以降に行われる見通しだ。

オバマ大統領は2日、ホワイトハウスで上院軍事委員会の共和党重鎮、マケイン、グラハム両議員と会談した。かねて対シリア攻撃を主張してきたマケイン議員は会談後、「アサド政権の能力を低下させるのと同時に反体制派武装組織、自由シリア軍の能力を強化する作戦が立案されつつある」と述べ、作戦を支持する立場を示唆した。同議員は「オバマ大統領の提案が議会で否決されれば、米国と米大統領の信用は失墜する」とも強調した。

ケリー米国務長官は同日、民主党議員との電話会議で軍事介入への賛同を求めた。ケリー長官はこの中で、トルコとサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)から米軍による軍事施設の使用を認めるとの申し出があったと述べ、他国もこれに続くだろうとの見通しを示した。また、シリアでは軍事介入の見通しが強まったことを受け、政府軍から約100人が離反していると語った。

シリア首都ダマスカス近郊で衝突が続く

しかし米議員らの間では党を問わず武力行使に慎重な意見も根強い。ダマスカス近郊で化学兵器を使用したのはアサド政権側だとする米政府の見解を、米国民が懐疑視しているとの指摘もある。

北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は2日、シリアでの化学兵器使用には「国際社会による断固たる対応」が必要だと述べた。一方で、NATOとしては加盟国トルコがシリアから攻撃された場合に備えてミサイルを配備しているものの、軍事介入などの対応は「各国が個別に決めることだ」と明言した。

英国では先週、対シリア軍事介入に関する議案が議会で否決された。フランスは米国とともに行動する構えだが、単独介入の可能性は否定している。

シリアのアサド政権と近い関係にあるロシアの議会は2日、米議員らに軍事介入の否決を呼び掛けるため、ワシントンへ議員代表団を派遣する方針を示した。

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