災害時に生き抜くためのアイデア 国際デザイン賞候補から

強化プラスチック製の「ノア」=インデックス:アワード提供

2013.08.29 Thu posted at 09:09 JST

(CNN) 地震や津波、洪水、竜巻などの自然災害に見舞われた時、避難場所や飲料水の確保は生死を分けるほどの意味を持つ。そんな「意味」を追求したアイデアの数々が、国際デザイン賞「インデックス:アワード」の受賞候補に出そろった。

世界の自然災害は今後ますます頻繁に、しかも大きな規模で発生すると予想される。災害が襲った時の被害を少しでも軽減するには何が必要かというテーマに、デザイナーたちの関心が集まっている。

「生活を向上させるデザイン」に贈られるインデックス:アワードの審査では、災害という複雑な問題に対し、低コストでシンプルな解決策を示す作品が高く評価されているようだ。

「ノア」は日本の一般家庭向けにデザインされた。鮮やかな黄色の球体は、直径120センチで大人4人が入れる。入り口を密閉し、水に浮いた状態で助けを待つことができる。がれきが衝突しても跳ね返す強化プラスチック製。外気を取り込むための吸気口もある。すでに53万5500円で市販されている。

大津波から避難するための「ツナミ・サバイバル・ポッド」=インデックス:アワード提供

オーストラリアのハバナ・ハウスボート社が開発した「ツナミ・サバイバル・ポッド」は約6トンの衝撃に耐える4人乗りカプセルだ。レースカーのような座席に乗り込んでシートベルトを着用する。中の空気は約2時間半もつが、換気にはドアを開ける必要がある。

2004年のインド洋大津波をきっかけに開発された「オレンジ・セーバー」は、受賞候補に含まれる避難用の乗り物3点のうちのひとつ。一見おしゃれなインテリアだが、広げると救命ボートになる。空気の入る部分が8つに分かれているため、一部が損傷しても浮力を失わない。

イタリアの建築家、マルコ・ディ・ピアッジ氏が考案した「シン・スカイスクレーパー」は、機能性と美しさを兼ね備えた高層の避難施設。ガラスと鋼材を使ったプレハブ・ユニットを積み重ねる方式で、解体や再利用も自由自在。わずか12メートル四方の土地に数百人を収容することができる。

住宅などの再建に役立ちそうなのが、焼かずに作る圧縮れんがの「ネクスト・ジェネレーション」だ。長さ120センチ、高さ60センチに幅15センチという大きさ。水圧式の圧縮装置を使い、1分間に3個のペースで製造できる。1日に小さな家が2棟建てられるスピードだ。

災害後数日はきれいな水を見つけることは難しいだろう。これは太陽熱を利用して海水を蒸留できる=インデックス:アワード提供

暑い地域で長期的に水を確保したい場合は、イタリア人デザイナーが考案した海水蒸留装置が使えそうだ。太陽の熱だけでつぼの中の水を沸かして淡水化する。試作版では1日に5リットルの水が得られたという。

被災地にとって、飲料水の供給は最も重要な問題のひとつ。イスラエルのデザイナーは、家庭用の太陽熱温水器に貯まっている水を飲めば一家が数日間生き延びられるとのアイデアから、タンクに穴を開けるガンタイプの器具を開発した。

最もシンプルなアイデアが最も賢いアイデアであることもある。「Paklaot」もそんなアイデアの1つ。4つの金属製のパーツを使えば、ドアや机を運搬手段に変えることができる。

太陽光エネルギーを利用した照明器具「NOMAD」は、LED電球12個で従来の40ワット電球と同じ明るさになる。6時間の充電で6時間点灯するが、明るさを15%に抑えれば点灯時間は35時間まで延びる。灯油による火災や事故の絶えない途上国で、ランプの代わりに使うことも想定されている。

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